IDでもっと便利に新規取得

ログイン

セブンズ日本代表「奇跡の残留」なるか
“崖っぷち”で挑む香港、東京大会

指導体制を強化もケガ人が続出

苦しいチーム状況の中で、スピードを生かして活躍している松井千士(同志社大2年)
苦しいチーム状況の中で、スピードを生かして活躍している松井千士(同志社大2年)【斉藤健仁】

 2016年のブラジル・リオデジャネイロ五輪から正式種目になった「セブンズ」こと7人制ラグビー。男子セブンズ日本代表は昨年、香港で開かれた昇格決定大会で優勝し、F1のように世界各地で開催されるサーキット方式の「ワールドシリーズ(WS)」のコアチームへと昇格した。コアチームとは全9大会すべてに優先的に出場できる15チームのこと。


 2014年度の男子セブンズ日本代表は、年間150日の活動期間すべてに参加する「コアスコッド」9名を選出し、昨秋のアジア競技大会では3大会連続の金メダルを獲得。「アジア最強」を証明してみせた。ニュージーランドで7人制オールブラックスも指導する「世界を知る男」ロジャー・ランドル氏をスキルコーチに招くなど指導体制の強化も進め、アジア王者の勢いのまま、オリンピック予選(総合ポイント上位4チームが出場権を得る)を兼ねた、今シーズンのWSに挑むはずだった……。


 だが、コアスコッドの橋野皓介(キヤノン)、小澤大(トヨタ自動車)、渡邊昌紀(リコー)、レメキ ロマノ ラヴァ(Honda)らがリーグ戦などでケガを負ってしまう。また今季のWSは、その国や地域に3年居住すれば出場できるラグビー特有の協会主義ではなく、オリンピックルールで行われており、日本国籍を取得できていないロテ・トゥキリ(北海道バーバリアンズ)、ジェイミー・ヘンリー(PSIコストカッツ)は出場できなかった。

15人制の影響で選手を固定できず

日本国籍を取得して、セブンズ日本代表に加わったヒーナン(中央)
日本国籍を取得して、セブンズ日本代表に加わったヒーナン(中央)【斉藤健仁】

 そんな中、昨年10月、オーストラリア大会からWSが開幕。だが、セブンズ日本代表選手は15人制ラグビーを兼任している選手がほとんどのため、シーズンが重なっている。「セブンズのプライドを守る」とコアスコッドの坂井克行主将(豊田自動織機)と羽野一志(NTTコム)や、「ミスターセブンズ」桑水流裕策(コカ・コーラ)は気丈に出場し続けたが、12人の登録メンバーを集めるのがやっと、というのが現実だった。


「選手が所属している企業との折り合いもあるので、私が、メンバーが来るとか来られないとかの話をしてもしょうがありません。今いるメンバーのレベルを上げて勝ちたい」と瀬川智広HC(ヘッドコーチ)は繰り返してきたが、本番の前々日にチームに合流する選手や、ケガ人などの影響で練習が7人に満たないことも……。昨年のアジア競技大会から3月までに招集された選手は実に36名に上るなど指揮官の苦悩がうかがえる。


 世界がオリンピックに向けて急激にプロ化の流れが進む中、選手が固定できない日本代表は、3大会目の南アフリカ大会でサモア代表に今季初勝利を挙げたが、最下位(15位タイ)と低迷を続けた。2月には2大会が開かれ、ケガが治った中軸の一人であるレメキ、日本国籍を取得したヒーナン ダニエル(パナソニック)、シーズンが終了した藤田慶和(早稲田大3年)、合谷和弘(流通経済大3年)、松井千士(同志社大2年)らが合流し、攻撃面では一定の改善が見られた。

日本にとって史上初の「8強」を目指す

精神的支柱としてチームを支える坂井主将
精神的支柱としてチームを支える坂井主将【斉藤健仁】

 だが、それでも失点が多く、結局、5大会連続で最下位。「序盤で失点してしまい、その後、巻き返すが、追いつくことができない試合が多かった。メンバーの入れ替えがあったので、15人制で用いられることが多い、面を作って流れるディフェンスをしていた。また7人制のフィットネスも足りなかった」と瀬川HCは本音を吐露した。


 今季のWSは香港(3月27〜29日)、東京(4月4日〜5日@秩父宮ラグビー場)、グラスゴー、ロンドンと残り4大会。コアチームで最下位は自動降格となる。現在、最下位(15位)の日本代表のポイントは「5」、14位のポルトガル代表は「21」と16の差が開いている。オリンピックのアジア予選は11月に開催される予定だが、その先の強化を考えて「奇跡の残留」を果たすためには「ベスト8以上に入って、勝点10以上を重ねていかないと」と瀬川HCは語気を強める。


 ただ男子セブンズ史上、WSのベスト8に入ったことはなく、大きなチャレンジだ。それでも9位や10位となると8ポイントか7ポイントを得る。ポルトガル代表が平均3ポイントであれば計33、日本代表が平均7ポイントであれば理論上は並ぶ。いずれにせよ、香港、東京で上位に進出しなければいけない“がけっぷち”にある。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

スポナビDo

新着記事一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント