1部復帰に燃える東洋大のエース原樹理 ドラ1候補を変えた先輩の言葉
春5勝、そして秋の1部復帰へ
2部降格から2年4シーズン、ひのき舞台とは縁はない。今春こそはチームを1部復帰へ導く 【写真=内田孝治】
「自分で何かを成し遂げようという、魂がこもった練習だった。その姿があれば、チームを引っ張っていける」
1部通算1勝4敗。2部通算5勝5敗という成績で、迎えた大学ラストイヤー。この4年が遠回りでなかったと証明するためにも、プロのスカウトへアピールしたいところだ。
高橋監督も、親心を見せる。「高校時代にプロ志望届を出していれば、指名されたはず。大学へ来たからには、上位でプロへ行ってほしい。これからだよ。ドラフト1位指名される投手になれる可能性もあるからね」
だが、原はその思いを封印する。「プロへアピールする気持ちはあまり強くない。それより春のリーグ戦が大事。チームを2部に落とした責任がある自分たちが、何としても1部へ上げないといけない。そのために、今春は最低でも5勝したい」
最速147キロの直球、スライダー、カットボール、フォークボールなど多彩な球種を操るのが原の持ち味。この冬の間にはスライダーに磨きをかけて、春のリーグ戦に臨む。「昨年の日本シリーズをテレビで見ていて、スタンリッジ(福岡ソフトバンク)の横に滑るスライダーを見て『これだ!』と思いました。ブルペンでその軌道をイメージして練習したら、うまく投げられたんですよ」
原はまるで野球少年のように目を輝かせて言うと、こう付け加えた。
「実戦が楽しみです」
この春、そんな彼が見せる「魂のこもった投球」を楽しみにしている。
(取材・文=佐伯要)