1部復帰に燃える東洋大のエース原樹理 ドラ1候補を変えた先輩の言葉

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春5勝、そして秋の1部復帰へ

2部降格から2年4シーズン、ひのき舞台とは縁はない。今春こそはチームを1部復帰へ導く 【写真=内田孝治】

 昨年12月のある日。原はブルペンで約350球を投げ込んだ。そのことで、高橋昭雄監督は原を主将に任命すると決めた。高橋監督は言う。

「自分で何かを成し遂げようという、魂がこもった練習だった。その姿があれば、チームを引っ張っていける」

 1部通算1勝4敗。2部通算5勝5敗という成績で、迎えた大学ラストイヤー。この4年が遠回りでなかったと証明するためにも、プロのスカウトへアピールしたいところだ。

 高橋監督も、親心を見せる。「高校時代にプロ志望届を出していれば、指名されたはず。大学へ来たからには、上位でプロへ行ってほしい。これからだよ。ドラフト1位指名される投手になれる可能性もあるからね」

 だが、原はその思いを封印する。「プロへアピールする気持ちはあまり強くない。それより春のリーグ戦が大事。チームを2部に落とした責任がある自分たちが、何としても1部へ上げないといけない。そのために、今春は最低でも5勝したい」

 最速147キロの直球、スライダー、カットボール、フォークボールなど多彩な球種を操るのが原の持ち味。この冬の間にはスライダーに磨きをかけて、春のリーグ戦に臨む。「昨年の日本シリーズをテレビで見ていて、スタンリッジ(福岡ソフトバンク)の横に滑るスライダーを見て『これだ!』と思いました。ブルペンでその軌道をイメージして練習したら、うまく投げられたんですよ」

 原はまるで野球少年のように目を輝かせて言うと、こう付け加えた。

「実戦が楽しみです」 

 この春、そんな彼が見せる「魂のこもった投球」を楽しみにしている。

(取材・文=佐伯要)

原樹理プロフィール

1993年7月19日生まれ。兵庫県加古川市出身。178センチ70キロ。右投右打。加古川市立野口南小2年からTAKASHOで野球を始める。加古川市立中部中では投手として2年秋に県大会3位。東洋大姫路高では2年夏からエースで、3年夏は甲子園で8強入り。高校日本代表としてアジアAAA選手権に出場した。東洋大では1年春からリーグ戦で登板し、1部通算1勝4敗、防御率3.33。2年春から3年秋は2部で通算5勝5敗、防御率2.79をマークしている。

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