“ミスター200%"安生洋二がプロレス人生に幕 けじめの3.19引退興行で「燃え尽きたい」
ゴールデンカップスを再結成
2009年10月のハッスル両国大会以来の試合となる安生。その間、戦極やグローリーの裏方や柔道家・泉浩のコーチを務めるなど表舞台からは一線を引いていた。インタビューをお届けする前に、まずは安生が歩んできた30年を振り返りたい。
伝説となった長州との一騎打ち
99年のUインター解散後は金原弘光、桜庭和志らとキングダムを設立。プロレス団体としては初めてオープンフィンガーグローブやマウントパンチを解禁した。全日本プロレスやWJプロレスにも参戦し、全日本プロレスでは天龍源一郎と世界タッグ王座を獲得している。同時に総合格闘技のPRIDEでハイアン・グレイシーとも対戦。2004年からはエンタメ路線としてファイティング・オペラを謳っていたハッスルへ。高田総統率いる高田モンスター軍のアン・ジョー司令長官としてインリンやレイザーラモンHG、和泉元彌ら芸能人とともにリングに上がり、新しいスタイルのプロレスを体現した。
ヒクソンへの道場破りも敢行
Uインター時代の“最強”を追い求めてのガチガチの格闘路線からエンターテインメントの極みとも言えるハッスルと幅広いジャンルを駆け抜けた30年。そんな安生がどのような思いで引退試合へ臨むのか!? 今回、その胸中に迫った。
本当は最強を目指していなかった!?
やはり自分の人生における区切りですね。今、ここ(Uインター元取締役を務めていた鈴木健さんが経営する焼き鳥屋「市屋苑」)で、自分で焼き鳥屋さんをオープンするための修行中の身なんですけど。その中で自分はまだプロレスラーを引きずっている部分があるので、もう違うんだよというけじめをつけようと思いました。焼き鳥の世界も甘くないので、プロレスラーが片手間でやっていると見られるのは嫌ですからね。
――今回は09年以来の試合となりますが、その間に試合のオファーはあったのでしょうか?
ありましたよ。でもハッスルがすごく魂を入れていた団体だっただけに、ハッスルで燃え尽きて、ちょっとやり切った感がありました。ハッスルは芸能人をリングに上げたり、既存のプロレス団体とは反する、言ってみれば裏技的なことをやっていたので、普通のプロレスに戻るのもいかがなものか?という思いもあったので、たとえオファーがあっても断っていました。
――引退試合ではゴールデンカップスを再結成させます。
これは自分の中でかなり前の段階から何となく決めていました。再結成まで18年かかりましたけど。自分の中で一番居心地のいいチームだったし、信頼できる仲間とともに戦って終わりたいな、と。
――Uインター時代に実力ナンバーワンと言われていた安生さんのシングルを見たいファンも多くいたと思いますが?
シングルも頭にありました。ありましたけど…シングルだったら6年ぶりですけど、再結成だったら18年ぶりなので、そっちを取りましたね。そういう意味では、対戦相手を船木、鈴木、菊田の3人にしました。カードは3対3ですけど、当日はオレ1人でやってやろうという気持ちにはなっています。引退試合は1回しかないので、3対3という形ではありますけど、試合は全部オレ1人で戦ってやる腹つもりではいますよ。
やってみなきゃわからないですけど、コンディションは精一杯やれるだけのことはやってきたと思っています。いくら5年ぶりとはいえ、しっかり一本獲りに行ける状態ではあると思います。
――高山選手や山本選手にゴールデンカップス再結成の話をしたときの反応はいかがでした?
即OKでしたね。山本に関しては引退していたので、「うん?」という感じではあったんですけど、まぁ「勝手に引退しやがってこの野郎!」って言って。「オレの引退計画を台無しにするな」って言ったら、快くOKしてもらいました(笑)。パワハラでしたね(笑)。
――もともとこの2人をゴールデンカップスに入れた理由は何だったのでしょうか?
高山は後輩ですけど、僕と同級生なんですよ。僕より早生まれなので、後輩だけど高山君って呼んでいいます。一番、業界の中では友達に近い関係なのかな。で、体が大きいじゃないですか。普通のプロレスをやる上では貴重な人材だなと思って目をつけていたんですけど。高山も最初は「こんなのUWFじゃない」って言ってたんですけど、僕が冬木軍にやられていたときに助けに来てくれたんですよね。あとは本当は山本じゃなくて、桜庭(和志)を入れようとしていたんですよ。桜庭とはいつも一緒に練習していたので。でも断られちゃいましたね(笑)。
――最強を目指していたUインターからゴールデンカップスという色物系に大きく変更しました。そのきっかけは何だったのでしょうか?
本当の自分は最強路線というより楽しい路線が合っている気がするんで(苦笑)。最強路線のときは最前線に立たされて、特攻部隊みたいな形で常にプレッシャーとの戦いだったので。いつ、どこで、誰とやるって、言うのは簡単ですけど、実際やるほうは相当なプレッシャーでした。本当は「オレは最強だ!!」という路線ではないんですけど、会社の方針でそういう方向に行っていましたから。そこから一気に解放されて自由にのびのびと本来の自分のキャラクターが爆発してしまった感じですね。やってみて気付いたですよね。これが本来の持ち味なのかなって。それがハッスルにつながっていくんですけどね。
――ちなみにゴールデンカップスで一番思い出に残っているのは?
やっぱり冬木軍との抗争ですよね。冬木さんがご存命だったら、ひょっとしたら引退の対戦相手になってたかもしれないですよね。冬木、船木、長州組とかやってみたかったですね(笑)。