川淵チェアマンが評議員らに熱弁振るう 「皆が心を1つにしないと変わらない」
若手と指導者の育成は不可欠
多くの評議員らの前で川淵チェアマンは「皆さんが心を1つにしないと変わらない」と熱弁を振るった 【©JAPAN 2024 TASKFORCE】
そして若手の育成に関しても、現在は中体連(日本中学校体育連盟)・高体連(全国高等学校体育連盟)が中心になってやっていると僕は聞いています。やはり中体連、高体連がやるのではなく、都道府県協会の技術委員会がやるべきなんです。なかったら作らないといけない。もっと言うと、都道府県協会が法人化して、しっかりした地位を築く。そこで事業をして稼いで、協会も補助をしてという形でバスケットボール界を底上げすることによって、全体の収入を増やしていく。そうすることで選手のセカンドキャリアの職も増えていく。今のバスケットボール協会の体制で、財政面の問題などありとあらゆる問題で発展する余地がないことを認識してもらいたいと思います。
今回は具体的な案をきちんと出さないと、FIBAが国際大会に出させてくれません。そんなことで子どもたちがバスケットボールをやりたいと思いますか。皆さんもっとバスケットボールの発展を心から考えてください。一体何を考えて今までやってきたのか。昨年10月末までにそれなりの回答が出ないと「五輪予選に出られませんよ」と通達されていたのに、それを出さなかった体たらく。僕は言葉がきついんではっきり言い過ぎて敵も多いんですけれど。僕のことを不愉快に思っている人もこの中にいるでしょう。でも僕はやるべきことをやればいいので。どんなに嫌われてもバスケットボール界が発展すれば、僕としては大満足なんです。
選手登録費を200円ほど値上げしたい
サッカーもJリーグができるまでは収入もあまりなかった。バスケットボール協会の予算は15億円、1990年のサッカー協会の予算は16億円です。変われるチャンスがあるということですよ。サッカーは今は200億円近くになっています。この短期間で皆さんが決断して力を合わせてやっていこうとしない限り、変わりませんよ。その決断をしてほしいし、命運を握っているのは都道府県協会だと僕は思っています。今、都道府県協会がどれだけ法人化しているのかは分からないですが、僕が会長になったとき日本サッカー協会は7つか8つでした。任意団体であると事業ができないし、収入を求めるのも難しい。社会的に認められない。法人化するには難しいことがあるかもしれないが、先のことを考えればぜひやっていただきたいなと思っています。
それで今日特にお願いしたいのが、財政がちょっと厳しいんですよね。選手や指導者の育成、海外遠征など地方協会がそれぞれやらなければいけないと僕は思いますし、強化の責任者から話を聞くと、中体連・高体連にだけ任せていてはいけないんだという話でした。二重登録を高校生、大学生に認めてプロの中でプレーする機会を与えてあげてほしい。そのために選手登録費を200円ほど上げてもらえないだろうか。100円は各都道府県協会、もう100円は協会に配分される。都道府県協会は育成や海外遠征に充てる。なんとか選手の登録費を値上げしてもらって、少しでも財政に余裕をもたせて、選手の強化を進められるようにできればいいと思っています。
僕がやるのはベクトルを定めること
とはいえ、FIBAの言うことをすべて聞くのかということについては、それはしないつもりです。やはり僕らは日本人で日本の法律の下で運営しているわけなので、日本人にとっては評議員だって10人以上必要かもしれない。日本の9地域の代表を入れなければいけないかもしれない。個人的にはできる限り、評議員の数は増やしたほうがいいかなと思っています。
僕がやるべきことはベクトルを定めること。今までやっていなかったことも、このタスクフォースをきっかけに変えることができる。それを変えないと五輪に出られませんよとなれば、変えざるを得ないはずです。そういううまい追い込み方をして、皆さんも一気呵成に行く。僕はJリーグを作るまでに5年かかりました。それでも完璧ではなく、やりながら変えていきました。今回は4カ月しかないんです。僕はよく知らない競技団体を4カ月で改革しなければいけない。最初は無理だなと思いましたが、3年も4年もあったら外野もうるさいでしょ(笑)。だから4カ月というのはラッキーなんですよ。この短期間でどんどんやれるから。方向付けをすぐに決められる。外国人3人は認めませんよ。バウマンは1人でもいいと言っている。それはちょっと難しいので、2人までを考えています。
細かいルールについては専門の人がしっかり考えます。僕がやるべきこと、僕が口を出しちゃいけないことの区分けはきちんとやっています。最終的にこのトップリーグの繁栄が日本代表の繁栄にもつながり、協会の収入につながり、その収入が地方協会の収入増につながり、そういったことでだんだん発展していくと思います。そういうことを理解してもらって、この改革に対してご支援いただければ幸いです。