今井正人、代表内定で「一歩前進できた」 世界陸上マラソン代表発表会見コメント
選考理由について
発表会見に登壇した(左から)原田康弘強化委員長、尾縣貢専務理事、酒井勝充強化副委員長 【スポーツナビ】
女子は、前田選手が名古屋ウィメンズマラソン3位、日本人1位、2時間22分48秒。前田選手は(レース中に)転倒したにもかかわらず、われわれが設定している陸連設定記録(2時間22分30秒)に迫る、歴代8位の記録を出しました。2番目は伊藤選手、名古屋ウィメンズマラソン4位、日本人2位、2時間24分42秒。伊藤選手は前田選手に続く日本人2位でしたが2時間24分台という好記録を樹立したということで選考させていただきました。3番目は重友選手、大阪国際で3位、日本人1位、2時間26分39秒。重友選手につきましてはわれわれが設定した記録を目標に前半から積極的にレースをしたということを評価して選考させていただきました。
田中の落選は「レース内容的に物足りなかった」
横浜国際女子マラソンで優勝した田中智美の落選に疑問を呈する声もあがった 【写真は共同】
酒井 われわれも田中選手についてはいろいろ討論いたしました。その中で2014年にナショナルチームを立ち上げ、女子の目標を2時間22分30秒と設定して、合宿等、活動をやってまいりました。その中で、重友選手、前田選手、伊藤選手についてはそのタイムを目指していこうというレース内容でした。田中選手の優勝にも評価はあるんですが、「世界と戦う」という中ではレース内容的には物足りないものがあった、という話がありました。優勝したことは素晴らしいことなのですが、出場していた選手のレベルというものを他の大会と比べた中で、若干劣っていたということがマイナス要素となって外れたということです。
――それは選ぶ際に主観が入っているということになる。重友選手には確かに復調の兆しは見えた。しかし、後半の5キロつの失速を見ると、まだまだだと思った。それに比べて横浜(国際)の田中選手は圧倒的な強さ(があった)。世界と戦えるということであれば、田中選手の方が戦えると現場で見ていて思ったが?
酒井 われわれも現場のプロとしてやっており、その中で見たときに、先ほども言ったとおり世界を目指し、そこで活躍することを目標に(ナショナル)チームを立ち上げて活動をしています。私がレースを評価する中で、いつも3点あります。優勝、タイム、レース内容。そのレース内容について、これで本当に戦えるのかという内容を評価させていただいたということです。勝つことは素晴らしいということはもちろんありますけど、大会ごとのレベル差を見ていくと、大阪、名古屋に出ている選手のレベルが高いと言えるのかなと思います。
――男女の選考レースで優勝は田中選手だけ。各大会、気象条件が違うので記録の差は出てくるが、優勝の重み、選考会のレースを勝つことの重みをどれだけ重んじるか?
酒井 選考要項の中には、日本人1位から3位の中から選ぶということにしています。その中で本当に戦える選手を選んでいます。今までは優勝したら決定というふうに要項に書いていたのですが、今回はなかった。本当に強い選手を選ぶということで、それに則り選考させていただいた、ということです。
――田中選手がレース内容で劣っていた点を教えていただきたい。また、ナショナルチームでの練習での強さが今回の選考でどの程度考慮されたのか?
酒井 ナショナルチームでの練習での優劣は、合宿に入る前の体調が個々に違いますのでその中ではナショナルチームの中で優劣をつけております。
レース内容については、レースの途中で(先頭集団から)離れたりしますので、常に前の方で戦っていなければ、優勝やメダルは難しいだろうというご意見をいただいておりますし、われわれもそうだと思います。決して横浜のレースが速かったわけではないし、そこで遅れていると。優勝は評価していますけれど、そういう点です。
また気象条件ですが、横浜、大阪、名古屋ではそれほど大きな差はなかったのではないかと思っています。横浜はハーフまでペースメーカーがあった、大阪はペースメーカーがなかった、名古屋は30キロまでペースメーカーがあったなど、いろいろ加味して、積極性などから選考させていただいたということです。
――暑さへの適正に関しては代表の6人と田中選手についてどう評価しているか?
酒井 暑い中で行われる世界陸上ではありますが、選考レースは暑くない中で行われています。レースの中では暑さに「強い、弱い」は判断できない。ナショナルチームの中では捉え方として、暑さに強くない選手の場合はどのような対処をする(と結果を出せる)、というような考え方で、データを収集して選ばれた選手が最高のパフォーマンスが出せるような方法を考えています。