欧州代表戦は今後への課題発見を期待 若手選手、監督・コーチ陣の経験の場に

永塚和志

今後の国際大会を見据えた試合に

昨年の日米野球で侍ジャパンに初選出され、可能性の高さを見せつけた山田 【Getty Images】

 3月10日、11日の両日、欧州代表との対戦に臨む野球日本代表「侍ジャパン」。やや異色の相手との対戦であることやプロ野球シーズン開幕前の調整時期であることを考えると、見る側としてもどういうスタンスでこのシリーズをとらえればいいのか難しいところだ。

 まして、今回の侍ジャパンには大谷翔平(北海道日本ハム)や則本昂大(東北楽天)といった一部のトップ選手が招集されず、いまひとつテンションが上がらないというのが大半のファンの偽らざる心境ではないか。

 ただ、この2試合を単発のイベントとしてではなく、今秋のプレミア12や2017年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、またその先の国際大会での優勝へ向けての課題を見いだす場ととらえた方が良いだろう。

筒香、山田の対応力に期待

 侍ジャパンのメンツを見渡した時、大谷や則本がいないのは残念ではあるものの、将来の“ジャパンのエース候補”藤浪晋太郎(阪神)や大瀬良大地(広島)、松井裕樹(楽天)といった伸びしろの大きな「これから」の選手は少なくない。

 ただ、今回の対欧州代表戦で着目したいのは日本チームの攻撃面である。若手中心ながら、投手陣についてはさほど危惧する必要はない。レベルの高い日本の投手であれば、少なくとも大量失点を喫するという可能性は低いだろう。

 その点、打撃面については読みきれない部分がある。「打撃は水物」とはよく言われることで、WBCや五輪などの国際舞台で普段から対戦してない投手相手となると、日本の打撃が火を噴く場面が減る可能性はより大きくなる。過去のWBCを見ても、中国や台湾、ブラジルといった格下の相手に対峙(たいじ)した際でも苦戦する場面があった(WBC過去3大会、計24試合の1試合平均の得点は6.42点だが試合の前半でなかなか点が取れなかった)。

 技術的には、手元で球を微妙に動かしてくる、いわゆる「汚い球筋」の投手に日本の打者は苦戦しがちだ。今回の使用球はNPB統一球だが、ツーシームなど海外のボールで動きやすい球種に苦戦する光景はこれまでにも見られたものだ(五輪やWBC本番ではかかる重圧も半端なものではなく、精神的な「重たさ」がスイングを鈍らせてしまう部分もあるだろうから、今回のようなエキシビションでそうはならないかもしれないが……)。

 その点を踏まえて、こういった国際舞台で強いのはやはりボールを手元まで引きつけて打つタイプの打者である。13年WBCで大活躍した井端弘和(現巨人、当時中日)や鳥谷敬(阪神)はその好例だ。今回選出されている面々の中では、昨季打撃開眼した山田哲人(東京ヤクルト)や筒香嘉智(横浜DeNA)らはそういった打撃のできる選手と言えるだけに期待したい。とりわけ筒香には日本チームに欠如するパワーも備わっており、中田翔(日本ハム)に頼りがちな長打力を補う存在として注視したいところだ。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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