2時間22分台の前田を軸に世界と戦う 金哲彦氏が名古屋ウィメンズを解説

構成:スポーツナビ

リオ五輪内定も狙える

解説者の金哲彦さんは「(世界選手権で)同じような走りができればリオ五輪も狙える」と話す 【スポーツナビ】

――前田選手はマラソンの課題となる30キロを過ぎてからのペースも5キロのラップタイムが17分台前半と大きく落とさずに走りきることができました。

 確かに先頭のキルワ選手からは離されましたが、キルワ選手のペースが速すぎました。30キロを過ぎてから1キロ3分20秒を切るペースで走るのは、まだ今の日本人選手には無理かもしれません。

 ただ、離れてからずるずるとペースダウンしてしまう展開もよくありますが、それもなかったので、練習で距離をしっかり走れていたのだと思います。最後をしっかりとまとめるマラソンができたと思います。

――やはりその部分は練習が積めたことが大きいのでしょうか?

 そうですね。あれだけのハイペースですから、ペースダウンしてしまうリスクは高いわけです。そこをしっかり走れたのは、練習を積んだことでハイペースで入ってもまとめることができたということが要因だと思います。

――この結果、8月の世界選手権の代表入りも近づいたと思います。

 多分、代表は確実だと思います。同じような走りができればリオ五輪代表内定()も狙えるんじゃないですかね。

――課題があるとすれば何でしょうか?

 そこは何を目標にするかですよね。もし優勝やメダル獲得を目指すなら、トップ争いのペースアップについていかなければいけないので、そこをクリアする必要があります。ただ入賞であれば、今の力でもできると思います。

リオ五輪代表内定の条件は、世界選手権で8位入賞以内かつ日本人トップの成績

若手が元の日本のレベルに戻してほしい

――ほかの日本人選手では伊藤舞選手(大塚製薬)が2時間24分42秒で4位に入りました。このタイムは、選考レースとなった昨年11月の横浜国際女子、今年1月の大阪国際女子の日本人トップ選手よりも速いタイムです。

 世界選手権代表に向けて、かなり有力になりましたね。

――伊藤選手も30キロまでは先頭グループにしっかりついていきましたが、そこから離されてしまいました。

 離れはしましたが、ベテランらしい粘りのある走りをしました。あの状態で2時間24分台で走れたのは、大したものだと思います。最後まで粘れたのが大きいです。

――伊藤選手の走りを見ていてどうでしたか?

 もともと実績がある選手なので、大きな変化はないです。やはり実力を全部出すことができたのが大きいと思います。

――今回はそのほかにも期待された選手が多く走りましたが、ほかの選手はいかがだったでしょうか?

 今日は相当速いペースでしたので、そこにうまく対応できなかった選手は、必要以上に最後にペースが落ちましたね。やはり想定よりペースが速かったことで余裕がなかったのかと思います。またそのような速いペースに対応する練習ができていたかどうかですね。

――これで世界選手権に向けての選考レースがすべて終わりました。この結果を見て、世界選手権に向けての展望は?

 今日のような若手の活躍があることが大きいと思います。前田選手がしっかりと走れたことが、ひとつの軸になると思います。これで世界に一歩近づいたかなと。

 これからは20年東京五輪を見据えて、ベテランよりも若手選手が、元の日本のレベルに戻していかないといけません。ですので、前田選手らを中心に、みんなでチャレンジしていってほしいですね。

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