2時間22分台の前田を軸に世界と戦う 金哲彦氏が名古屋ウィメンズを解説
2時間22分台の好タイムで日本人トップとなった前田彩里(左) 【スポーツナビ】
レースは快晴の絶好のコンディションの下、序盤からハイペースで展開する。最初の5キロを16分49秒で入り、10キロを過ぎた時点では先頭集団が10人程度に絞られた。そのペースの中でも余裕を持って走れた前田だったが、15キロの給水所では、小原怜(天満屋)と接触し、転倒するアクシデントもあった。しかし、すぐに立ち上がって先頭集団の中でレースを続けた。
30キロでペースメーカーが外れると、キルワがペースを上げて独走状態に。前田はキルワを必死に追いかけるが、終盤に差し掛かっても1キロ3分20秒を切るキルワとの差を埋めることはできない。しかし、それでもタイムを大きく落とすことなく最後まで走りぬくと、07年の野口みずき(シスメックス)以来となる2時間23分を切る好タイムでゴールし、世界選手権マラソン代表の座を大きく手繰り寄せた。
スポーツナビでは、今大会のテレビ中継でバイクリポーターを務めたNPO法人ニッポンランナーズ理事長であり陸上競技・駅伝解説者の金哲彦さんに、レースの解説と、世界選手権に向けての展望を語ってもらった。
ハイペースにも余裕があった
前田選手は2度目のマラソンでしたが、もともと力のある選手で、1回目(14年1月、大阪国際女子マラソン)から記録(日本学生記録となる2時間26分46秒)も出していました。実業団に入ってからも、駅伝やそれ以外のレースでもしっかりと10キロ以上の距離を走れていたので、その勢いもあったと思います。
今回のマラソンに向けて、しっかり練習も積めていましたし、さらにレース中の気候やペースメーカーのペースも含め、すべての条件に恵まれていましたね。
――レースは最初の5キロから16分49秒とハイペースで入りましたが、このペースは前田選手にとってはどうだったのでしょうか?
私はずっとバイクリポートで走りを近くで見ていました。最初は大きな集団で走っていましたが、あのペースをいっぱいいっぱいでついていく選手とそうではない選手が半分ぐらいに分かれていましたね。その中でもとりわけ前田選手はペースに余裕があったように見えました。
――ハイペースへの不安はなかったと?
まったくなかったですね。そこは駅伝からずっと好調で、ハイペースで走ってきていることが有利に働いたと思います。