不可解なレフェリングに問われるJの姿勢 ゼロックス杯はブーイングに包まれ終演
理想的な顔合わせになった一戦
G大阪が浦和を2−0で破り、今季初タイトルを手にした 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
ずい分と早くにスタジアムに到着したので、メディア受付でもらったオフィシャルマッチデープログラムを熟読する。例年との大きな違いは、「今季のJ」をアピールしようとする意図が明確であることだ。今季からJ1リーグに導入される2ステージ+チャンピオンシップ制について見開き2ページでフィーチャーされ、過去のシーズンの成績に基づいたシミュレーションまで行っている。さらに、Jリーグ・アンダー22選抜を含むJ1からJ3の53チームが、監督の顔写真とコメント入りで紹介されていた。いずれのページからも「もっとJリーグを知ってもらいたい」という主催者側の想いがひしひしと感じられる。
リーグチャンピオンと天皇杯優勝チーム(編注:2つが一緒の場合はリーグ2位のチームが出場)によるスーパーカップとしてスタートしたゼロックス杯。しかし最近では、U−18Jリーグ選抜と高校サッカー選抜による「ネクスト・ジェネレーション・マッチ」、さらにはマスコット総選挙の結果発表や全国のご当地スタジアムグルメを楽しめるコーナーなど、さまざまな客層が楽しめる要素を盛り込んだ大会として、広く認識されるようになった。シーズン最初のJリーグの公式戦であるゼロックス杯は、Jリーグの魅力というものを(とりわけライト層に向けて)発信していく絶好の機会。とりわけ今季のJ1は、メディアの露出を増やしてライト層を取り込むべく、大会方式を大きく変更したのだから、その重要性は例年以上と言えるだろう。観客の入りもまずまず(4万7666人)。風はやや冷たいけれど、天候も良好だ。あとは「最強の、開幕宣言。」というキャッチコピーが、ピッチ上で実現することを願うのみである。
満を持してパトリックを投入したG大阪
浦和のポゼッションサッカーを打ち破ったのはパトリック(左から2人目)の個の輝きだった 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
前半は基本的に浦和が相手陣内でボールを回し、G大阪はブロックを形成してしっかり受け止めるという展開。しかし攻め続けているはずの浦和は、なかなかシュートまで持ち込めない。7分に槙野智章が枠外のミドルシュートを打って以降、32分に那須大亮がヘッドでゴールを狙うまでの25分間、まったくシュートなしという状態が続いた。G大阪が手堅く守っていたこともあるだろうが、それ以上に浦和にチャレンジングな姿勢があまり見られないことが気になった。結局、スコアレスのまま前半は終了する。
後半になると、攻める浦和、守るG大阪という構図が少しずつ崩れてきて、両者ともチャンスを演出するようになる。そして後半11分には浦和がズラタン(高木OUT)を、G大阪が同18分にパトリック(赤嶺OUT)をそれぞれ投入。高さのあるズラタンはG大阪のDF陣に脅威を与えるかと思われたが、この試合で存在感を示したのはパトリックのほうだった。後半23分、パトリックの粘りから右コーナーキックのチャンスを得ると、遠藤のキックにパトリックがヘディングでコースを変え、最後は宇佐美が右足ダイレクトでネットを揺らす。先制したのは、前半をシュート1本で終えたG大阪であった。
終盤は、前線に人数を割いた浦和が猛攻を仕掛けるも、これをしのいだG大阪はアディショナルタイムに追加点。中盤での味方のパスカットを受けたパトリックが、ドリブルで独走して放ったシュートは、いったんはGK西川周作に阻まれたものの、すぐさま自分で押し込んでダメ押しの2点目を挙げる。結局、パトリックの個の輝きが浦和のポゼッションサッカーを打ち破り、2−0で勝利したG大阪は今季最初のタイトルを手にすることとなった。