大神「リオ五輪が具体的な目標です」 女子バスケ代表が川淵三郎と意見交換

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女子日本代表との充実した意見交換会を行った『JAPAN 2024 TASKFORCE』の川淵チェアマン(後列右から3人目) 【スポーツナビ】

 日本バスケットボール協会(JBA)の改革を行う「JAPAN 2024 TASKFORCE(タスクフォース)」の川淵三郎チェアマンが、25日に都内で女子日本代表との意見交換会を行った。

 交換会の冒頭で川淵チェアマンが「日ごろ、バスケットボール界全体に対して(思っていることを)何でも言っていいから」と口火を切ると、参加選手からは一斉に「五輪に出たい」の声が発せられた。中でも大神雄子は積極的に発言して川淵チェアマンへ猛アピール。「Wリーグの制度には矛盾がある」など、思いの丈を存分に語った。

 また川淵チェアマンに「女子のバスケ界に望むこと」を問われた選手たちは、海外移籍が難しい日本の現状を説明。選手から具体的な“現場の声”を聞き、川淵チェアマンは「検討課題とする」ことや「解決するべく努力します」など前向きな姿勢を見せていた。

 以下は意見交換会の要旨。

大神「モチベーションを保っていくのは難しくなる」

積極的な発言を見せていた大神 【スポーツナビ】

登壇者:
[JAPAN 2024 TASKFORCE]
川淵三郎(チェアマン)
境田正樹(メンバー)

[女子日本代表スタッフコーチ]
内海知秀(ヘッドコーチ)
一色建志(アンダーカテゴリーヘッドコーチ)

[平成26年度女子日本代表(第17回FIBA女子世界選手権出場)チーム]
大神雄子(JBA所属/チームキャプテン)
久手堅笑美(トヨタ自動車アンテロープス)
宮元美智子(三菱電機コアラーズ)
大庭久美子(デンソー アイリス)
渡嘉敷来夢(JX−ENEOSサンフラワーズ)
長岡萌映子(富士通レッドウェーブ)

[平成26年度女子日本代表(第17回アジア競技大会出場)チーム]
諏訪裕美(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス/チームキャプテン)

[平成26年度女子U−18日本代表チーム]
篠原華実(愛媛県・聖カタリナ女子高校3年/チームキャプテン)

[平成26年度女子U−18日本代表チーム/女子U−17日本代表チーム]
加藤優希(愛知県・桜花学園高校3年/U−17チームキャプテン)

川淵 マスコミの皆さん、本当にたくさんお集まりいただきありがとうございます。こういうことでもないとバスケットボール界が世間の注目を集めることがないので、今日はここに出席された選手の皆さん、思っていることをバシバシ言ってください。男子が40年近くも五輪に出ていなくて、女子は出ているのに「何で私たちが割りを食わなきゃいけないの」と言いたいと思いますが、今回のタスクフォースで何としてもリオ五輪予選に出場できるように僕としては全力を尽くしたい。もう3カ月しかないんですよね。その間に何としてでもやり遂げたい。日ごろ、バスケットボール界全体に対して(思っていることを)何でもいいからこういうときに思い切って自分をアピールしてください。そういうことも大事なので。ここで常識的なことを言うとマスコミの皆さんは取り上げてくれないから(笑)。「川淵、えらそうなこと言って本当にできるのかよ」くらい言えば、テレビに取り上げられるかもしれないから、それぐらいの勇気を持ってぜひ発言してほしいなと思います。それじゃ、渡嘉敷さんから行こうか(笑)。

渡嘉敷 はい(笑)。五輪に出たいです。五輪に出ることを前提に毎日練習しています。

川淵 「しっかりしろよ!」ってことだね(笑)。頑張ります。じゃあ次、キャプテン(大神)。

大神 私がキャプテンをやっていたのは若手主体のチームでした。みんなで「世界選手権や五輪を目指してやろうね」というモチベーションでアジア大会を戦っていました。その子たちが目指すところがなくなってしまったのがかわいそうだと思っています。

川淵 練習をやっていても気持ちが上がってこないときもあるのか?

大神 実際に私たちが練習していたときは、制裁がまだ出ていない状況だったのですが、これから先モチベーションを保っていくのは難しくなるのかなと思うことがあります。

川淵 大神さんがメディアに出たことはあったけれど、男子も含めて「どうして選手がもっと声を挙げないのかな」と僕は思いました。大神さんの思いの丈を聞かせてください。

大神 ようやく選手の声を聞いてもらえる場を設けていただけました。私は今までずっと代表で続けてきて、アテネ五輪(2004年)は最年少で出場しましたけれど、北京五輪(08年)、ロンドン五輪(12年)は出場を逃しました。その後、13年のアジア選手権で43年ぶりに優勝して、アジアの頂点に立ったことで、やっとみんな具体的な目標を持つことができました。それがリオ五輪です。今ほとんどの選手が日本でプレーし、強化を図り、それを日本代表で表現するという形になっています。でもその一番の母体となっているWリーグ(WJBL)にもいくつか問題があるんじゃないかと私は思って、整理しました。

 1つは移籍の問題です。どのリーグでもそうかもしれないのですが、前所属のチームの会社のハンコが必要となります。そこで移籍が認められ、その時点で交渉権が発生しますが、移籍をしたいといった選手が前所属からハンコをもらえずにスポーツ裁判まで行ったというケースがバスケットでは1度ならずあります。そういった部分でどう盛り上げていくのか。今はWリーグでやって日本代表につなげていこうとしているのに、そういった部分では矛盾しているのかなとは感じます。

川淵 協会マターかWリーグマターかで状況は変わってくると思うんだけれど、僕は大神さんの意見に賛成かな。なんかいじわるしているように見えるんですよね。違法な形で移籍したら何らかの処分を受けるのは仕方ないけれども、リーズナブルな形で移籍して何で半年もプレーできなくなるのか。僕は今、大神さんが協会所属になっているのも理解できないんですよね。普段どうやって練習しているのか。その辺を今ここで聞くと不都合がありそうなので、あとで聞きます。協会所属というのは認められているんだろうけれども、実戦経験をどこで積ませるのかを考えたときにやはりおかしい。一瞬だけ所属ならまだしも長い間所属だとそれは問題があると思います。後で話しましょう。それでは次、久手堅さん。

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