本田宗一郎が教えてくれた情熱 アロンソ、ホンダとの共闘を語る
武士道の精神にも造詣が深いアロンソ。日本企業のチームに所属することへの思いも語った 【スポーツナビ】
武士道を愛するアロンソにとって、“マクラーレン・ホンダ”に乗ることは、どんな意味があるのか。2月10日、ホンダF1会見後の合同インタビューで語った。
マクラーレン・ホンダに所属することの意味
今回、私は初めて日本のチームと一緒に仕事をすることになります。ここ5年間は(フェラーリで)イタリア人と一緒にやってきました。日本人のチームと一緒に仕事をするのは初めてですが、感じることは、皆さん本当に強いコミットメントを持っている、ということ。また、規律を持って明確なゴールに向かって進んでいます。明確なゴールというのは勝つ、勝利することと理解しています。
文化的にも武士道など素晴らしいものがあり、それだけに日本人と仕事をしていると、ワールドチャンピオンになるということは、自分たちに課せられた使命であると。必ずや達成しないといけない、そういった気持ちを持っているのではないかと思います。そうした考えは、これまでのチームと違います。それだけに私は大変楽しみにしており、かつ魅力に感じています。
――ホンダと仕事をしてみて、創業者・本田宗一郎氏のスピリットを感じられたことはありますか? フェラーリにおけるエンツォ・フェラーリ氏と同様の存在にあたると思います。
われわれチーム全員が本田宗一郎さんの存在を感じているのではいかと思います。フェラーリでもそうでした。伝説的な存在であるエンツォ・フェラーリ、本田宗一郎という方々は、われわれにモータースポーツに対する情熱を教えてくれたのではないかと思っています。こうしたチームに所属するということは、特別な意味を持っています。ドライバーとして楽しく仕事ができると同時に、仕事に対して情熱を持って取り組んでいます。これは他のチームとは違う点だと思います。
チームのメンバー誰しもが、誰のためにやっているのか、何のためにやっているのか、そしてなぜ自分たちがこの仕事が好きなのかが、よく分かっていると思います。本田宗一郎さんは、まさにこうしたことを教えてくれました。ホンダは本田宗一郎さんがくれたこの情熱に感謝していると思います。
競争力はまだ十分に確認できていない
仕事を始めてまだ日は浅く、テストも1回だけです。さくら(本田技術研究所四輪R&Dセンターさくら研究所)の施設は何度か訪問しました。その程度ですが、規律のレベルが高く、独自性も持っていて、コミットメントのレベルも高い。私が見る限り、すべてが高い水準で準備が進んでいると思います。
パワーユニットのテクノロジーに関しても、まずは科学的なアプローチが哲学の中に組み込まれているということが素晴らしいです。科学的アプローチという点では、これまでのチームと違っているのではないかと思います。意外でしたが、とてもうれしいことでもあります。これは単にエンジニアだけの話ではありません。ここまで話したように、いろいろなことが背景にはあります。数学者、科学者、物理学者など一緒になって初めて実現するものです。そうしたすべての面において、ホンダは非常に高いレベルを誇っていると思います。
――新マシン「MP4−30」に初めて乗ったとき、一番印象に残った部分は?
まず、一番気に入っているのは、エンジンとシャシーが統合されている、つまりすべてが1つのタイトなパッケージにまとまっている点です。それによって空力面で非常に良いパフォーマンスが出せるようになっています。まさにマクラーレン・ホンダがこれまで非常に良い研究を行ってきた成果だと思います。それなくして、このような優れたデザインは生まれないですし、空力の優れたものも生まれません。何カ月にもわたって、マクラーレンとホンダの両者が緊密に取り組んできた成果です。大変ユニークなパッケージができあがったと思います。
外から見てもとてもうまくできていると思いますが、先日のヘレステストでは十分な距離を走行することができなかったので、競争力という面ではまだ十分に確認できていません。ここで言えるのは、非常に統合性があり、両者がうまく連携していて、有利な立場にあるということ。パフォーマンスに関しては、まだフルポテンシャルを試すだけの走行をしていません。良い面、悪い面も完全に把握できていないので、その点に関してはまだ話せません。