悠矢が2冠・町田に下馬評覆す勝利=NJKFの交流戦は1勝1敗1分

長谷川亮

居合いパンチャーと互角の打ち合い

下馬評を覆して“居合いパンチャー”で2冠の町田光を下した悠矢 【長谷川亮】

 キックボクシング「NJKF 2015 1st」が15日、東京・後楽園ホールで開催された。

 今大会ではNJKFがINNOVATIONと新日本キックボクシング協会から王者を迎えて交流戦3試合を実施。2試合を終え1敗1分けと後のなくなったNJKFからメインイベントに登場したのは昨年9月にNJKFスーパーフェザー級王者となり、これが戴冠第1戦となる悠矢(大和)。ジムの先輩・大和哲也がセコンドとして見守る中、居合切りの動きを模した必殺“居合パンチ”を持つINNOVATIONスーパーフェザー級ならびにREBELS60kg王者・町田光(橋本道場)を迎え撃った。

 町田は1Rから悠矢を翻弄するかのように、居合抜きの構えからフック、バックブロー、あるいはヒザ蹴りと繰り出し、さらに組んではたくみなコカしで悠矢をマットに投げていく。レフェリーからブレイクを命じられると正座して待つなど、奔放な“町田ワールド”を繰り広げ試合の主導権を握ろうとした町田だが、戦前「KYなぐらい前に行く」と語った悠矢は、こうした動きに惑わされず宣言通り圧力を掛けて右ローを浴びせる。そして打ち合いになっても自慢の打たれ強さを発揮し、下がることなく互角以上に町田と渡り合う。1R終了直前、町田はファールカップの紐が切れ外れてしまうアクシデントがあり、再装着のたえ試合が一時中断される。

3Rでも落ちないタフネス&圧力

悠矢は3Rにも落ちないタフネスと圧力で町田を攻め続けた 【長谷川亮】

 2R、町田はボディへのヒザ、ボディブローを混ぜつつ顔へのフック、ストレートを飛ばすが、タフな悠矢はこれに屈せず、圧力を掛けこちらもパンチ&ローで対抗しながら最終3Rを迎える。

 2Rまでの採点はジャッジ3者がいずれもドローを付けたが、この3Rの打ち合いで悠矢は町田に鼻血を出させ、加えて切り込んだヒジで頭部に裂傷を負わせ、ドクターチェックを呼び込む。さらに悠矢はその後の打ち合いでも落ちないタフネス&圧力を見せ、町田に居合攻撃を出させる余裕を与えず、押し切って終了。

 判定29−28、29−28、30−29の3−0で新王者・悠矢が勝利し、下馬評を覆して2冠王・町田を下した。

“激闘王”テヨンvs田中はドロー

2Rまでテヨンの前に劣勢だった田中だが、3Rにヒジ打ちで反撃し、ドローに持ち込んだ 【長谷川亮】

 セミファイナルに登場した“NJKFの激闘王”テヨン(キング/WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者)はINNOVATIONの元王者・田中秀和(橋本道場)をローと強打で切り崩さんとしたが、2Rまでこれをしのいだ田中が3Rに首相撲からの右ヒジを決めてテヨンに効かせ、その後は挽回に来たところを首相撲で絡め取ってヒザ攻撃。2Rまでの採点ではテヨンがリードしていたが、田中が盛り返しドローに持ち込んだ。

 また、NJKFと新日本キックの現役フライ級王者対決となった一戦は、新日本王者で19歳のHIROYUKI(藤本)が3Rに右ストレートでニモ(キング)からダウンを奪って判定勝ち。「この階級ではたぶん僕が一番強いと思うので、誰でも来てください」とフライ級最強をアピールした。

試合結果

19歳の新日本キック日本フライ級王者HIROYUKIはNJKF同級王者のニモに判定勝ち 【長谷川亮】

 その他、大会の試合結果は以下の通り。

■「NJKF 2015 1st」
2月15日(日) 東京・後楽園ホール

<第9試合 60kg契約 3分3R>
○悠矢(大和ジム/NJKFスーパーフェザー級王者)
(判定3−0)
●町田 光(橋本道場/INNOVATIONスーパーフェザー級王者、REBELS 6kg王者)
※29−28、29−28、30−29

<第8試合 64kg契約 3分3R>
△テヨン(キング/WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者)
(判定ドロー)
△田中秀和(橋本道場/元INNOVATIONスーパーライト級王者)
※29−29、30−29(田中)、29−29

<第7試合 52.5kg契約 3分3R>
○HIROYUKI(藤本/新日本キック日本フライ級王者)
(判定3−0)
●ニモ(キング/NJKFフライ級王者)
※29−27、30−28、30−27

<第6試合 NJKFバンタム級タイトルマッチ 3分5R>
○前田浩喜(CORE/1位)
(判定3−0)
●白井周作(Bombo Freely/前王者)
※48−47、48−46、48−47
※前田が新王者に輝く

<第5試合 NJKFウェルター級王座決定戦 3分5R>
○大和侑也(大和ジム/1位)
(判定3−0)
●DAI(誠至会/2位)
※50−42、50−42、50−43
※大和が新王者に輝く

<第4試合 NJKFライト級王座決定戦 3分5R>
○階 勇弥(健心塾/1位/61.23kg)
(3R2分00秒 TKO)
●凌太(OGUNI GYM/2位)
※階が新王者に輝く

<第3試合 NJKFスーパーライト級王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)>
○宮島教晋(誠至会/1位)
(判定3−0) (30-29/29-28/30-28)
●一輝(OGUNI GYM/3位)
※30−29、29−28、30−28

<第2試合 NJKFスーパーライト級王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)>
○嶋田裕介(Bombo Freely/4位)
(3R 1分03秒 TKO)
●マリモー(キングジム/2位)

<第1試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)>
○波賀宙也(立川KBA/1位)
(3R 2分49秒 KO)
●新井宏和(OGUNI GYM/3位)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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