女子プロレス界の『壁』をぶっ壊す! 美央が思う『姉妹対決』より重要なこと

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告白して振り向かせたけど「重い」

イオの発言を取材先で聞くたびに「重い」と感じる 【スポーツナビ】

――4団体に所属したのが14年1月で、その時から接点が欲しかったと。ただ14年は2人ともやることがたくさんあったから遅れたという点もありましたか?

 いや、一応これも仕事なので、向こうからしたら「出てもいいよ」というレベルまで持っていかないといけないんですよ。「4団体合同でやります。だから来て下さい」では、「え、その4団体合同興行って、何なの?」と。どんなシステムになるかも分からないし、なんなら私も初めてだったから分からないし、開催するだけでてんやわんやでした。

 それで9月に興行ができて、成功しました。4団体の方たちが「次もやろう」と言ってくれている。それで2月14日は私の誕生日だし、「ベストなチャンスじゃん!」となって、持ってきた感じですね。

 だからファンの人には「なんで(より多くのお客が入る)後楽園ホールでやらなかったの?」と言われますけど、順番が違うんですよ! 「姉妹対決ができます」となってから場所を押さえたわけでないので、そこはそう言われましても……。むしろこっちが困っております(笑)。

――実際、興行のチケットは完売ですよね?

 そうですね。あとは当日立ち見を出す予定です。

――そうなるとやはり、反響の大きさに驚いている?

 そうですね。「ここまで大きいの?」と。

――イオさん的には「私たちには長いストーリーがあって、ほかの人と対戦するのとでは意味が違う」という話でした。逆に美央さん的には、早く消化しておきたい試合だった?

 そうですね。だから妹のコメントを聞いていると、「重いな」と。すごい変な心境なんですけど、自分から告白しておいて、いざ振り向いてくれると、「あれ、こいつ重いんじゃね?」というような(笑)。

 そんなつもりではなかったし、違う方向を向いていたから、急に向かいあったら、がっちり見てくれないと思っていましたけど、振り向いて欲しくてやったのですが、「あいつ、重く受け取っているな」と。

 確かにそれぞれの今のポジションを考えたら重くもなります。私の場合は4団体所属という特別な感じですが、自分のことが大事というのも大きいです。ただ、彼女みたいに、「私は3年間を背負っています」という気はないですね。

いらない『透明な壁』

女子プロレス界にできている『透明な壁』。その壁をなくすことが、姉妹対決の目的でもある 【写真提供:ZABUN】

――では、今回接点を持つことで反響があったら、もう一度戦う、もしくはタッグを組むようなことも考えていると?

 なくはないんじゃないですか? なくはないと思いますし、なんなら別に、私たちが交流を始めたことで、下の子たちが交流できればいいなと思っています。

 結局、団体間で『壁』ができてしまっていると思うのですが、その『壁』ができてしまった理由は、私が言うのもおかしいのですが、私より下の世代の子たちには届いていないと思うんですよ。そんな誰にも理解されていないような『透明な壁』ができていて、なんとなく、ここを通っちゃいけないんだよね、ここは通れないんだよねと言いつつも、その理由は分かってないんです。だけど、そこはノータッチにしましょうと。

 でもいろいろな団体があって、いろいろな子達が切磋琢磨(せっさたくま)していて、ここの団体では彼女がトップ、こっちの団体ではこの子がトップとなった時に、その『透明な壁』のせいで試合ができないこともあるんですよ。「この子とこの子が試合をしたら面白いのに」って時にできない。私はその状況が、女子プロレス界にとって良くないと思っています。

 だから姉妹対決によって、その『壁』が壊れるんだったら、その子達に「壁は壊れたから、君たち、もっと切磋琢磨しなさい!」と投げ入れたいなと。

 ただ逆にこの『壁』がもっと分厚くなって、色がついて、二度と壊れない『ベルリンの壁』になったら、それはそれでいいかなと。それこそ『ベルリンの壁』もいつかは壊れるので、その『壁』を壊す誰かが現れたときに、盛り上がってくれたらいいなと。

 むしろこの『壁』に触れず、いつの間にやら消えていくというのが、一番面白くない。

――なるほど。もし『ベルリンの壁』ができたら、それが壊れた時に盛り上がると。

 私が言っているのは、私の理想論なので、それに団体側が乗るかは分かりません。ただ私はこれを機に、乗れる団体がなかったら、女子プロレス界はどうなるんだろうと。4団体に所属してみて、それぞれの団体が切磋琢磨してお客さんを増やそうと頑張り、若い子たちが入るように頑張っています。

 でもそれぞれの団体に長所や短所があって、集客に伸び悩む時期もあります。そういう時に爆発力のあるカードを持ってこれるはずなのに、わけの分からない『壁』のせいで、できないのであれば、それはお客さんのためにも、団体のためにもならない。そういう状況を壊したいというのはありますね。

――理想としては、各団体が大事な大会では選手を呼び合えるような環境ができることを望んでいると?

 そうですね。人の記憶は新しい試合があるとどんどん変わっていくし、「美味しい試合だ」となった時に、『壁』のせいで実現できないとなったらもったいなくて、見ていてイライラします!

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