マクラーレン・ホンダ最下位も注目の的 コンパクトPUにライバル警戒

田口浩次

ホンダ始動、新車MP4-30

初の合同テストに臨んだマクラーレン・ホンダMP4-30。ライバルに遅れを取り、最下位からの船出となった 【写真:マクラーレン】

 2015年シーズン、日本のF1ファンが最も注目しているマクラーレン・ホンダがついに始動した。1月29日に新車MP4-30をインターネットによる生中継で発表。注目のカラーリングは、1996年まで続いた紅白カラーを彷彿(ほうふつ)させるかと噂されていたが、実際には従来のシルバーを基調にサイド部分はブラック、フロントノーズからアクセント的に赤いラインが入った、あまり変化の感じられるものではなかった。また、タイトルスポンサーの発表もなく、チーム代表のロン・デニスは、今後スポンサーが決まった後にカラーリングが変化する可能性を示唆している。

 しかし、カラーリングがどうあれ、大事なのはマシンの速さだ。実際、新パワーユニット(PU)導入後にホンダがライバルメーカーから1年遅れて参戦することが、プラスに働くのか、マイナスに働くのかは、パドックにいるスタッフたちでさえ、多少マイナスという声が大きいものの、その意見は分かれていた。

 迎えた合同テスト初日の2月1日。場所はスペイン南部のアンダルシア州にあるヘレスサーキット。日本でもすっかり有名になったイベリコ豚の生ハムやシェリー酒が有名で、さらに南東へ100キロほど走ればアフリカ大陸を望めるジブラルタル海峡がある。

ヘレステストはメカニックが悲鳴

メカニックたちにとってヘレステストは正念場。マクラーレンスタッフはトラブル対応に追われた 【写真:マクラーレン】

 合同テストは朝9時から午後5時までの8時間ノンストップで行われる。ノンストップといっても、レースとは違って、この間の時間であれば自由にコースへ出て、時間内に戻ってくればいい。つまり、それぞれのチームがそれぞれの走行目的によって、一度に周回するラップ数や、タイヤ選択、タイムを狙って走るのか、マシンを流して走るのか、など自由にその日のプログラムを組み立てることができる。

 人間はマシンと違って休憩なしで働き続けることはできないので、昼食の時間なども、班を分けて取るなど、とにかく時間を無駄にすることなく、どれだけマシンの走行データを収集できるかを綿密に考えて行うことになる。特に新車のシェイクダウン場所でもあるヘレスでは、ドライビングミスなどでマシンを壊すことだけはないよう、ドライバーにも注意が言い渡される。本当にギリギリのスケジュールで完成したマシンなので、まだスペアパーツがそろってない場合も多いのだ。

 さらに言うと、現代のF1ではレースウイークエンド中、エンジニアやメカニックたちがサーキットで働く時間も厳しく規制されているが、テストの場合は、どれだけ長時間マシンを整備していても問題はない。もしマシントラブルがあれば、メカニックたちは徹夜でマシンの修復や、大きなセットアップ変更のための準備をすることになる。ドライバーにとってもタフな日が続くが、それ以上にメカニックたちにとって最初の合同テスト4日間というのは、トラブルが多ければ多いほど睡眠時間が取れない、マシン以上に身体が悲鳴を上げるテストとなる。

 そして今季一発目のテストで、最もメカニックたちの睡眠時間が少なかったであろうチームは……残念ながらマクラーレン・ホンダだった。

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