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「戦術」で振り返るラグビー頂上決戦
トップリーグは新たなステージへ

パナソニックがヤマハを破り2連覇

決勝でヤマハを破り、2連覇を達成したパナソニック
決勝でヤマハを破り、2連覇を達成したパナソニック【斉藤健仁】

「青き王者」は今季も強かった。ラグビーのトップリーグはプレーオフ(PO)トーナメント「LIXIL CUP 2015」の決勝で、パナソニック ワイルドナイツがヤマハ発動機ジュビロを30対12で破り、昨季に続き2連覇を達成した。


 POの3試合を戦術、戦略を中心に振り返ってみたい。1月24日に行われた準決勝ではヤマハ発動機(2ndステージ4位)が神戸製鋼コベルコスティーラーズ(同1位)を41対12で下した。

清宮監督率いるヤマハは準決勝で快勝

準決勝で神戸製鋼ディフェンスを突破するヤマハのCTBマレ・サウ
準決勝で神戸製鋼ディフェンスを突破するヤマハのCTBマレ・サウ【斉藤健仁】

 ヤマハ発動機がこの試合で焦点を当てたのは「セットプレー」と「ボールキャリアーがショートステップを切って前に出る」ことだった。4季前、清宮克幸監督が就任すると、3つのユニットでボールを動かす「ポッド・アタック」を採用。ただ、昨年12月の神戸製鋼戦では、前に出るディフェンスでプレッシャーをかけられて10対40で大敗していた。


 再戦でヤマハ発動機はセットプレーでプレッシャーをかけてキックで敵陣に入り、SH矢富勇毅の長いパスも冴え、ボールを広く動かす。またCTBマレ・サウを筆頭に強いランナーにボールを集めて、前に出ることで味方の2、3人目の寄りも早くなりボールが出やすくなる。と同時に相手の組織ディフェンスの整備も遅れ、相手は前に出にくくなる。さらにボールを継続し、相手の外のディフェンスの人数が足りなくなると、右サイドで待つLOデューク・クリシュナンらにキックなどでボールを送る――、好循環が生まれていた。


 SH矢富はグラウンドの端から端に動きボールをさばいたため、「少しバテましたね」と振り返った。また出色の出来だったCTBサウは「(ニュージーランドの)クルセイダーズみたいなアタックなのでやりやすい!」と笑顔を見せた。

東芝戦でパナソニックが見せた工夫

準決勝の東芝戦ではSH田中のキックなどが有効だった
準決勝の東芝戦ではSH田中のキックなどが有効だった【斉藤健仁】

 1月25日の準決勝2試合目。今季、2度、東芝ブレイブルーパス(2ndステージ3位)に負けているパナソニック(同2位)が50対15で快勝、リベンジを果たした。


 有効だったのはSH田中史朗、SOベリック・バーンズのキックだった。田中が「世界ではキックが重要になっている」と言うとおり、パナソニックはキックを軸に戦略的に進めた。バーンズはいう。「東芝やヤマハ発動機に負けた試合では、自分たちが背走しないといけないキックを蹴られていた。プレーオフでは自分たちが前に出ることのできるキックを使って、僕もSOとしてやりやすかった」


 パナソニックは攻撃では「ポッド・アタック」を採用、基本的にはFW6人がミッドフィールド(3人ずつシェイプを作る)に、BK2人とFW1人の計3人が両サイドに立つ(残りのBK3人がゲームをコントロール)。シーズンの当初は、FWのHO堀江翔太、No.8ホラニ龍コリニアシが大外に立つ場合もあったが、POでは2人は中盤で、大外にはFL劉永男とFL西原忠佑が立っていた。「パナソニックは、みんなどこに立ってもプレーできる」とWTB北川智規が胸を張った。

ディーンズ監督が称賛した先制トライ

東芝を激しいタックルで押し返すパナソニックのLOヒーナン
東芝を激しいタックルで押し返すパナソニックのLOヒーナン【斉藤健仁】

 近場にLOダニエル・ヒーナン、HO堀江、No.8ホラニと体を張れる選手を立たせたことで、相手の「アタック・シェイプ」にプレッシャーをかけて、「少しパニックになった」(東芝、リーチ マイケル)。また攻撃でも、近場にFWを3人、平行に立たせる形を使っていた。このシェイプはボールリサイクルのスピードを上げることだけでなく、SOバーンズに対する相手のプレッシャーも減らすことも目的だったと推測される。


 前半1分のトライはこの形から生まれた。相手ラインアウトからボールを奪取し、左端まで大きく展開。左端からの攻撃では3人のFWが並び、そのシェイプ間のパスでLOヒーナンがゲイン。さらにボールを展開し、HO堀江をおとりに、No.8ホラニからSOバーンズへ、最後はFL西原が先制トライを挙げた。「練習でやっていたことがあそこまで出るのは珍しい。コーチとしてうれしい」(ロビー・ディーンズ監督)

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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