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鉄壁のジョコビッチが全豪5度目V
オフ中の周到な準備が実を結ぶ
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全豪オープンの男子シングルスで5度目の優勝を果たしたジョコビッチ
全豪オープンの男子シングルスで5度目の優勝を果たしたジョコビッチ【Getty Images】

 テニスの全豪オープン(オーストラリア・メルボルン)は1日、男子シングルス決勝が行われ、第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)が初優勝を狙うアンディ・マレー(イギリス)の挑戦を退け、2年ぶり5度目の優勝を飾った。全豪オープンの優勝5回は1960年代に活躍したロイ・エマーソンの6度に次いで史上2位、68年のオープン化以降では最高。グランドスラム通算記録では優勝8回で、アンドレ・アガシ、ジミー・コナーズらの歴代8位に並んだ。

雪辱へ我慢し続けたマレー

 水も漏らさぬジョコビッチの攻防だった。ストローク戦に自信を持つ2人だが、ジョコビッチのスキのない防御、脅威のカウンターに加え、長丁場での勝負強さは群を抜く。マレーとの対戦成績は15勝8敗、うちフルセットでは5勝1敗。マレーには、第1セットを奪ってからの逆転負け4回という数字が頭にこびりついていただろう。


 2度の全豪オープン決勝でともに敗れているマレーにとって、雪辱の道は我慢しかない。タイブレークを分け合った第1、2セット、2人が奪い合った171ポイントの間に、5本以上のラリーが89回、9本以上に及んだラリーが64回もあった。


 第1セット、マレーが先にブレークポイントを握った。第3ゲーム、フォアのウイナーで0−40に。しかし、ジョコビッチには大事な場面での集中力がある。5ポイント連取でこのゲームをキープ。その勢いを第4ゲームの長い打ち合いにつなげ0−40。2度目のブレークポイントでリターンエースを決めたジョコビッチが先にブレークした。


 昨年のマレーはグランドスラムの決勝に一度も進めず、年度末ランキングでは2007年以来初めて“4強”から転落した。一昨年に念願のウィンブルドン制覇を果たしたリバウンドとも言われたが、オフにはコーチングスタッフを入れ替えて入念に準備。頂点への執念が、そこからの攻防を熱くした。


 第7ゲームでマレーがブレークバック。続く第8ゲーム、ジョコビッチが反撃態勢に入って深いリターンから打ち合い再びブレーク。マレーもリターンから攻め上がって、第9ゲームをブレークバックというもつれた展開になった。タイブレークはいきなりジョコビッチのダブルフォルトで始まったが、マレーに悔やまれるのは4−2とリードしてからの7ポイント目だ。コートチェンジで風が気になったのか、ダブルフォルトで追いつかれ、5−5からの長いラリーで根負けしてセットを落とした。

2セット連続のタイブレークへ

マレーはジョコビッチ相手に激しい攻防を見せた
マレーはジョコビッチ相手に激しい攻防を見せた【写真:ロイター/アフロ】

 オーストラリアは英連邦の一角で、この全豪オープンでの英国勢の優勝は1934年のフレッド・ペリー以来途絶えている。オフのトレーニングは、新たな目標をこの地に据えたものだった。第2セットはマレーが第2ゲームを先にブレークし、ジョコビッチが第3、第5ゲームを連続ブレーク。ベースライン深く、あるいはサイドラインをかすめてボールが交錯する緊張の肉弾戦にスタンドから思わずうめき声が上る。第7セット後のコートチェンジで、難民問題の活動家2人がコートに乱入する騒ぎが起きるも、両者の集中力は乱れない。マレーが第8ゲームをブレークして追いつき、2年前と同じく、2セット連続のタイブレークに入った。


 その前の第10ゲーム、マレーは40−0からデュースに持ち込んでセットポイントを握った。ジョコビッチがここをかわして続く第11ゲーム、逆にジョコビッチが2度目のブレークポイントで追い詰めた。しかし、主導権を握ったラリーのバックハンドがわずかに外れた。この場面でジョコビッチは最後のチャレンジを使い果たしてしまう。


 タイブレークの最初のポイント、センターに飛んだマレーの時速213キロのサーブは際どいエース。ジョコビッチは主審に訴えたが、タイブレークに入って与えられた虎の子のチャレンジ権まで、最初に使い果たすわけにはいかなかった。マレーが2ポイント目に26本のラリーを制すなど、タイブレークをモノにしてセットカウント1−1とした。

不死鳥のごとき勝利

 ここまでの2セットの所要時間が2時間32分。ジョコビッチはこう振り返っている。


「肉体的に非常に疲れた。第3セットに入って、立て直すためには少し時間が必要だった。戦術を変え、打って、ネットに出てポイントを短くしたのはそのためだ」


 左右どちらでも守り、どちらからも攻め込む――鉄壁のジョコビッチとの対戦、ましてグランドスラムの決勝の舞台は非常にタフな神経戦だ。アリの一穴で崩れそうな不安と戦うマレーに対し、ジョコビッチには戦術を転換して様子をうかがう余裕があったということだろう。


 第3セット、マレーがいきなりサービスブレークしたが、ジョコビッチは強弱をつけて流して第4ゲームをブレークバック。第7ゲームのブレークポイントをかわした直後、第8ゲームにプレッシャーをかけると、マレーはダブルフォルトで崩れ落ちた。第4セットは6−0。崩れそうで崩れない、まさに不死鳥のごとき勝利だった。


 シーズン開幕戦であること自体がこの大会の特徴で、オフの準備の度合いが明確に結果に表れる。その大会での5度の優勝は、ジョコビッチがどれほどツアーに懸け、周到な準備をして戦っているかのバロメーターでもあるだろう。


(文:武田薫)

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