セリーナが19度目のメジャー制覇=ナブラチロワを抜き歴代2位に
世界ランキング1位vs.2位の戦い
グランドスラム通算19回目の優勝を果たしたセリーナ(左)と、準優勝に終わったシャラポワ 【写真:ロイター/アフロ】
世界1位のセリーナと2位のシャラポワという理想の決勝対決になった。しかし、1位と2位はWTA全体の中の評価で、必ずしも2人の力関係を示すものではない。ここまでの対戦成績はセリーナの16勝2敗で、最近は15連勝。シャラポワは2004年のWTAファイナル以来、まる10年間、セリーナには勝っていない。重い過去、厚い壁を感じさせる立ち上がりだった。
セリーナはシャラポワとのパワーヒッター対決を制した 【写真:ロイター/アフロ】
サーブに不安を抱えるシャラポワにとって安心材料ではあっても、サーブを武器にするセリーナにはもっと大きな後押しだ。室内コートへの環境変化を機に、2大パワーヒッターの激しい打ち合いが展開された。セリーナが第7ゲームをラブゲームでブレークすれば、シャラポワも第8ゲームですぐさまブレークバック。さらにセリーナが第9ゲームをまたもやラブゲームで破って第1セットをもぎ取った。
シュテフィ・グラフの22回超えは
第2セットはタイブレークまでもつれたもののサーブの差に泣かされたシャラポワ 【写真:ロイター/アフロ】
第2セットは、セリーナがノータッチエースを連発してスタートした。第2ゲームはリターンからネットに出て煽(あお)るセリーナにたじろいだシャラポワだが、15−40から再び集中力を高めて、4ポイント連取で踏みとどまった。ゾーンに入ったシャラポワは手が付けられなくなる。そこをどう崩すか――セリーナの強さを見たのは、そろそろブレークを取りたい局面に差し掛かった第6ゲームだ。ファーストリターンからベースライン前で構え、相手にプレッシャーをかけ、カウンターを狙い、打ち合いになれば角度をつけて前後に弱いシャラポワを牽制(けんせい)した。
これに対し、シャラポワはショットをベースライン深くに押し込んで応戦する。密閉されたスタジアムで、1万9236人と発表された観客が息を呑み、その緊張感が頂点対決のレベルを上げた。第7ゲームからの5ゲームで交わされた37ポイントのうちアンフォースドエラーはわずかに6。第10ゲームに30−40からセリーナのマッチポイントがあったが、シャラポワが強烈なフォアハンドでかわしてタイブレークに突入した。
セリーナはグラフの持つグランドスラム通算22回の優勝記録を超す日はくるのか?(写真は1996全仏オープンで優勝した際のグラフ) 【写真:ロイター/アフロ】
昨年の全仏オープンは2回戦負け、ウィンブルドンは3回戦負けだった。
「これでランキングの心配はいらない。去年はローランギャロス、ウィンブルドンとよくなかったから、いまの目標はこの二つの大会。もっと好成績を残したいし、残せると思う。通算20回とかそういうことではなく、ローランギャロスで勝ちたい」
全豪オープン優勝者の特権は、年間グランドスラムの可能性にある。若手の成長が著しいとはいえ、シュテフィ・グラフの22回の数字が遠い話だとは思えない。
(文:武田薫)
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