ワウリンカが見せた自信と冷静さ 決勝進出ならずもジョコビッチに肉薄

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連覇を狙ったワウリンカだが、フルセットの末ジョコビッチに破れた 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスの全豪オープン(オーストラリア・メルボルン)は30日、男子シングルス準決勝の残り1試合などが行われ、第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)が昨年優勝のスタン・ワウリンカ(スイス)をフルセットの末に下し、通算5度目の全豪タイトルを目指し、2月1日の決勝でアンディ・マレー(イギリス)と戦うことになった。

先手を取るもリズムをつかめず

 ここまで2人の対戦成績はジョコビッチの16勝3敗、ここ7年に限れば14勝1敗と圧倒的な数字だったとはいえ、十分に予想された接戦だった。最近3度のグランドスラムでの対戦ではいずれもフルセットにもつれ、しかも一昨年、昨年の全豪オープンのファイナルセットは12−10でジョコビッチ、9−7でワウリンカが制すという激しいつばぜり合いを演じてきた。ワウリンカは昨年の優勝に加え、年末には、ロジャー・フェデラーとともに祖国スイスに初めてデビスカップのトロフィーを持ち帰っている。

 そのワウリンカは自信のこもった立ち上がり。片手打ちバックハンドからクロスへ強烈なショットをダウンザラインに飛ばし、3−3で迎えた第7ゲーム、フォアハンドを3本、角度を刻みながら攻め込んでブレークした。

 問題はその直後のワウリンカの攻めだ。第8ゲームのサービスゲームの初球に、いきなりサーブ&ボレーを仕掛けるもミス。ジョコビッチから先に奪ったリードを意識し過ぎたのだろうか。いつにない戦術ミスが尾を引き、すぐラブゲームでブレークバックを許したのは痛い。逆に勢いづいたジョコビッチが、第10ゲームでさらに15−40とプレッシャーをかける。ここを2本のサービスエースで切り抜けたあたりは、いまのワウリンカの強さではあったが、余計なプレッシャーを受け、攻めのリズムをつかみ切れぬままタイブレークを1−7で落とした。

 錦織圭(日清食品)との準々決勝でもそうだったが、それでもいまのワウリンカには冷静さが加わっている。第2セットも第6ゲームを先にブレークした。続く第7ゲームの最初のポイントを奪われ、またかと思われたが、今度はそこからボールをつないで守り切り、セットカウントを1−1にした。

安定感が光ったジョコビッチ

接戦をものにしたジョコビッチは、決勝でマレーと対戦する 【写真:ロイター/アフロ】

 ジョコビッチの左右の安定感は衰えていない。両サイドから繰り出す反撃には強弱のメリハリがつけられ、そんな相手との長丁場の5セットマッチは挑戦者には果てしない旅に見えるだろう。第3セット、3−0までリードされたワウリンカは懸命に食い下がり第5ゲームをブレークバックした。しかし、第10ゲームの40−15から崩れてしまい、ダブルフォルトをきっかけに4ポイント連取され、再びリードを許した。

 第4セットをワウリンカが奪って3年連続のフルセット勝負。ファイナルセットの第1ゲームをどう見るかは難しいところだろう。2度のチャレンジで2度とも判定が覆るという複雑な展開の中で、ワウリンカはブレークポイントをつかみながら生かせなかった。生かせなかったことで限界が訪れたのか、既に限界が来ていたから生かせなかったのか……。第2ゲームで、ワウリンカは2本のダブルフォルトでブレークを許すと、ジョコビッチにそのままゲームカウント6−0と突っ走られた。

 最終的に、ジョコビッチの鉄壁の両サイドを崩すことはできなかったが、ワウリンカの強烈なショットにさらに自信がまぶされ、内容的にはこれまで以上に肉薄してきた印象だ。この敗戦によって週明けの世界ランキングは現在の4位からは後退するが、今年はまだまだ活躍しそうなプレーだった。

 決勝のジョコビッチとマレーの対戦成績は15勝8敗でジョコビッチがリード。この大会では2度の決勝を含め3度対戦し、いずれもジョコビッチが勝っている。

 また、この日は女子ダブルス決勝も行われ、ノーシードのベサニー・マテック・サンズ(米国)とルーシー・サファロバ(チェコ)のペアが優勝した。

(文:武田薫)
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