注目は無敗同士の日本Sフェザー級王座戦=2月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

エリートvs.叩き上げ

2月9日、後楽園ホールで行われる王者・内藤(左)と挑戦者・伊藤による日本Sフェザー級タイトルマッチは無敗同士の好カード 【船橋真二郎】

 例年1月から4月にかけ、各階級の日本チャンピオンが指名挑戦者(原則、日本ランキング1位の挑戦者)と激突する恒例のチャンピオン・カーニバルが今年は2月9日、東京・後楽園ホールで行われる日本スーパーフェザー級タイトルマッチで幕を開ける。WBAに内山高志(ワタナベ)、WBCに三浦隆司(帝拳)と、2人の日本人世界チャンピオンが君臨するスーパーフェザー級は現在、国内にも数多くのタレントが揃う最も熱い階級のひとつである。チャンピオンの内藤律樹(E&Jカシアス/11勝5KO)、23歳。挑戦者の伊藤雅雪(伴流/16勝7KO1分)、24歳。将来を嘱望される若手ホープ同士の無敗対決は今カーニバル屈指の好カードになる。

 ともにディフェンスに優れ、スピードを主体にしたハイセンスなボクシングを見せる技巧派だが、そのキャリアは対照的だ。高校3年時に選抜、インターハイ、国体を制し、鳴り物入りでプロデビュー。元東洋、日本ミドル級チャンピオンのカシアス内藤会長を父に持つ良血としても注目を集めたサウスポーは昨年2月、王座決定戦を制してチャンピオンになり、2度の防衛に成功。これが3度目の防衛戦となる。対する伊藤はプロの叩き上げ。2012年に2度目の挑戦で全日本新人王になると、得意のカウンターに磨きをかけ、次第に頭角を現した。昨年7月には世界ランカーの仲村正男(渥美)に競り勝ち、これが日本タイトル初挑戦となる。

王者・内藤は勝てば日本卒業

元東洋、日本ミドル級チャンピオンのカシアス内藤会長を父に持つ律樹。スピードを主体にした技巧派サウスポー 【写真は共同】

「次もしっかり勝てば、1年間、タイトルを守ったことになる。これで日本は卒業して、次のステップに進みたい」と内藤。「ベルト以上に内藤選手という高い壁を必ずぶち破りたいという気持ちが強い」と伊藤。内藤は1カ月、伊藤は2週間、この一戦とその先も見据えて米・カリフォルニア州ロサンゼルスでスパーリング中心の合宿を張るなど、力が入る。互いに実力を認め合っているからこそ、この試合に懸ける思いは強い。

「伊藤選手はフットワークが良くて、右手を器用に使う印象。ただ、スピードでは自分に分がある。簡単に当てさせてくれない選手だと思うが、カウンターパンチャーにはスピードと手数。悩まずに悩ますのがセオリーなので最初から攻めて、誰が見ても内藤の勝ちと言われる試合をする。自信はある」(内藤)
「内藤選手は速くて、うまくて、もらわない、レベルがかなり高くて、すごく崩しにくい印象。全体のスピード感は確かに内藤選手に分があるかもしれないが、一瞬のスピードでは僕が上。右は当たると思うし、全体的に見て、負ける要素はないというイメージ。僕もかなり自信はある」(伊藤)
 試合前から一歩も譲らない両者の戦いは、緊迫感のある技術戦になる可能性が高い。内藤もまたカウンターを得意とする。一瞬のスキが勝敗を分けることになるかもしれない。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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