錦織、頂点までの視界はきわめて良好=全豪オープンテニス

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打ち合いを制圧

強敵フェレールをストレートで破り、準々決勝進出を決めた錦織 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 テニスの四大大会初戦、全豪オープン第8日が26日、オーストラリア・メルボルンで行われ、男子シングルス4回戦では、第5シードの錦織圭(日清食品)が第9シードのダビド・フェレール(スペイン)と対戦。セットカウント3−0(6−3、6−3、6−3)のストレート勝利を収め、2012年以来、3年ぶり2度目の準々決勝進出を決めた。

 この大会で初めてのセンターコートに入った錦織は、ベースラインプレーヤーのフェレールとの打ち合いを完全に制圧。まったく危なげないプレーでの勝利となった。準々決勝では昨年の全米オープンでフルセットの末に倒した第4シードのスタン・ワウリンカ(スイス)と対戦する。

「プレッシャーがなくなった」

 風格すら漂う立ち上がりだった。フェレールとはこれまで6勝3敗。グランドスラムデビューを飾った08年、全米オープン3回戦で初顔合わせとなったが、そこで初勝利を挙げる。そして昨年は4戦4勝。その自信が後押ししたのだろう、フェレールのサービスゲームで始まった第1セットの第1ゲーム、40−0から2度のデュースまで持ち込んで感触を思い出した。

 この日は朝方の雨で第1試合は屋根を閉じていたが、その後は時おり風が吹きつけたものの、屋根も開いて『オーストラリア・デー』の祝日にふさわしい好天。

 フェレールはやはり錦織のリターンを警戒していた。第3ゲームに2本のダブルフォルトでサービスブレークを献上してからは、錦織の自信は深まるばかり。第1セットのファーストサーブからのポイント率は87%(フェレール50%)、相手のファーストサーブのリターンからのポイント率も50%(フェレール13%)と、早々に一方的な試合の流れを作り上げてしまった。

「今日はけっこう早い段階で、気持ちよく打ち合っているという感触がありましたね。ここまでの格下の選手との対戦とは違って、やはりプレッシャーがなくなったせいかと思います」

海外メディアも錦織に注目

球脚が速いと言われるセンターコートへの対応もでき、頂点へ向けての視界も良好 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 第2セットは立ち上がりに3つのダブルフォルトで第1ゲームでブレークを許したものの、慌てず騒がず。第2ゲームですぐにブレークバックして流れを戻し、第8ゲームをブレークして勝利を固めた。これまでの6勝はいずれもフルセットの末の勝利だったが、この日はウィナー数で43対14、サーブの最高時速201キロを記録し、所要時間2時間7分と、非の打ちどころのないストレート勝ち。フェレールも、まったくのお手上げといった表情だった。

「今日のケイはすごく良かった。これまでの僕との試合では最高の出来だったと思う。ただ、準々決勝はワウリンカだし、(ラファエル・)ナダル、(ノバック・)ジョコビッチがいるから何とも言えないけれど、これからの試合はどれも接戦になるのは間違いない」

 最終日までを占うのは気が早いと釘を刺したフェレールだが、この日の錦織のプレーで2つのことが確認できた。これからはセンターコートが戦いの場になるが、球脚が速いと言われる舞台への対応ができたこと。もう1つ、挑戦を受ける立場の1週目から、挑戦していく2週目への切り替えができたこと――。まだ早いとはいえ、ここから先の予想の楽しみを味わうことは別に悪いことでもないだろう。

 次の対戦相手はワウリンカと決まっているが、その先の準決勝の相手はジョコビッチとギル・ミュラー(ルクセンブルク)の勝者か、第8シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)。そこを突破できれば、決勝の相手はトマシュ・ベルディヒ(チェコ)、ナダル、アンディ・マレー(英国)、ニック・キルギオス(オーストラリア)のいずれかになる。この顔ぶれの中で、錦織が直近の対戦で勝てなかったのはナダルだけ。しかも、昨年5月のマドリッド・オープン決勝では、ナダルから主導権を奪いながらの途中棄権だったし、今大会は病み上がり……。対戦していない地元の新鋭キルギオスが気になるが、そこまで心配するのはさすがに気が早い。いずれにしろ、視界はきわめて良好。いままで静観していた海外メディアも、ようやく動き始めた。

(文:武田薫)
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