錦織、頂点までの視界はきわめて良好=全豪オープンテニス
打ち合いを制圧
強敵フェレールをストレートで破り、準々決勝進出を決めた錦織 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
この大会で初めてのセンターコートに入った錦織は、ベースラインプレーヤーのフェレールとの打ち合いを完全に制圧。まったく危なげないプレーでの勝利となった。準々決勝では昨年の全米オープンでフルセットの末に倒した第4シードのスタン・ワウリンカ(スイス)と対戦する。
「プレッシャーがなくなった」
この日は朝方の雨で第1試合は屋根を閉じていたが、その後は時おり風が吹きつけたものの、屋根も開いて『オーストラリア・デー』の祝日にふさわしい好天。
フェレールはやはり錦織のリターンを警戒していた。第3ゲームに2本のダブルフォルトでサービスブレークを献上してからは、錦織の自信は深まるばかり。第1セットのファーストサーブからのポイント率は87%(フェレール50%)、相手のファーストサーブのリターンからのポイント率も50%(フェレール13%)と、早々に一方的な試合の流れを作り上げてしまった。
「今日はけっこう早い段階で、気持ちよく打ち合っているという感触がありましたね。ここまでの格下の選手との対戦とは違って、やはりプレッシャーがなくなったせいかと思います」
海外メディアも錦織に注目
球脚が速いと言われるセンターコートへの対応もでき、頂点へ向けての視界も良好 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
「今日のケイはすごく良かった。これまでの僕との試合では最高の出来だったと思う。ただ、準々決勝はワウリンカだし、(ラファエル・)ナダル、(ノバック・)ジョコビッチがいるから何とも言えないけれど、これからの試合はどれも接戦になるのは間違いない」
最終日までを占うのは気が早いと釘を刺したフェレールだが、この日の錦織のプレーで2つのことが確認できた。これからはセンターコートが戦いの場になるが、球脚が速いと言われる舞台への対応ができたこと。もう1つ、挑戦を受ける立場の1週目から、挑戦していく2週目への切り替えができたこと――。まだ早いとはいえ、ここから先の予想の楽しみを味わうことは別に悪いことでもないだろう。
次の対戦相手はワウリンカと決まっているが、その先の準決勝の相手はジョコビッチとギル・ミュラー(ルクセンブルク)の勝者か、第8シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)。そこを突破できれば、決勝の相手はトマシュ・ベルディヒ(チェコ)、ナダル、アンディ・マレー(英国)、ニック・キルギオス(オーストラリア)のいずれかになる。この顔ぶれの中で、錦織が直近の対戦で勝てなかったのはナダルだけ。しかも、昨年5月のマドリッド・オープン決勝では、ナダルから主導権を奪いながらの途中棄権だったし、今大会は病み上がり……。対戦していない地元の新鋭キルギオスが気になるが、そこまで心配するのはさすがに気が早い。いずれにしろ、視界はきわめて良好。いままで静観していた海外メディアも、ようやく動き始めた。
(文:武田薫)
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