柴崎、武藤ら若い世代に刻まれた苦い記憶 ベテラン超えへ、さらなる自己研さんを
求められる若手の台頭
本田(中央)、香川(右)らに頼ってばかりではいられない。求められるのは彼らに続く若手の台頭だ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
とはいえ、最初の2戦でグループリーグ突破を決められず、3戦目もベテラン中心の構成で挑んだことが、UAE戦の停滞感の一因になったことは否定できない事実。もはや本田や香川、遠藤や長谷部ら計算できる面々だけでアジアを制し、世界でのし上がっていくことが難しくなっている現実を、日本サッカー界全体が強く認識する必要があるだろう。
「ずっと真司や圭佑に頼っていく日本代表ではないし、次に活躍してくれる選手が出てこなきゃいけない。真司がトップパフォーマンスを戻し、代表で活躍してくれる日が1日でも早く来てくれることを望んでいるけれど、『真司がダメなら俺がやる』という選手も出てきてほしい」と、霜田技術委員長も若手の台頭に大きな期待を寄せたが、世代交代はまさに早急かつ重大なテーマだ。
日本が敗れたUAEにしても、12年ロンドン五輪世代の若手がチームの中心。マンチェスター・シティの練習に参加したというオマル・アブドゥラフマンも91年生まれの23歳である。翻って日本代表を見ると、90年代生まれでピッチに立ったのは、酒井高徳、武藤、柴崎の3人だけ。もっとフレッシュな力が必要なのは間違いない。
柴崎、武藤に期待されること
ベテランとしのぎを削り、若手が主力の座を奪わない限り、日本代表の底上げにはつながらない 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
「4年前の吉田麻也も22歳で、この大会でデビューして代表の経験を積んでいった。そういう意味で、武藤や柴崎ら20代前半の選手たちがこういう大会を経験して、次の日本代表の主力に育っていってくれればいい」と、霜田技術委員長も前向きに語ったが、UAE戦で同点弾を決めた柴崎、全試合出場の武藤という2人には、その自覚がより一層、強く求められる。
「今大会は試合に出られない時間の方が多かった。今日に限っては長くプレーができましたけれど、大会を通して出られなかったのは実力だったり、信頼度というのはあると思う。出られなかった経験を得られたことも、サッカー選手として大きくなるためには必要だと思います」と柴崎は、いつも通りの謙虚な物言いで、アギーレ監督の信頼を勝ち取る努力を重ねる必要があると強調した。その気持ちは武藤も同じ。「こういう大きい大会ではいい選手から使われるのが当たり前。自分自身もしっかり評価されるパフォーマンスをしなければいけない」と語っていた。
彼らのように出場機会に恵まれなかった昌子も「よっち(武藤)や岳という同い年が出て、自分が置いていかれているというのはすごく感じてますし、早く追いつかないといけない。自分が試合に出て勝敗に関わる仕事を体験したい。それができなかったという意味ですごく苦い思いが残った大会でした」と、内に秘めた悔しさを口にした。
かつて三浦知良を城彰二が、中村俊輔を本田が超えていったように、若手がベテランとしのぎを削り、最終的に主力の座を奪うようになっていかなければ、日本代表の底上げはない。アジアのライバル国のレベルアップが著しい昨今だけに、彼ら20代前半の若手には1日1日を無駄にせず、自己研さんにまい進してほしいものだ。