“錦織対策”に苦しむも逆転勝ち!=全豪オープンテニス

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世界ランク86位のドディグを下し、3回戦進出を決めた錦織 【Getty Images Sport】

 テニスの四大大会初戦、全豪オープン第4日が22日、オーストラリア・メルボルンで行われ、男子シングルス2回戦では、第5シードの錦織圭(日清食品)がイバン・ドディグ(クロアチア)と対戦し、セットカウント3−1(4−6、7−5、6−2、7−6)で勝利し、3回戦進出を決めた。

立ち上がりを狙われた

 錦織圭が嫌な相手を振り切って2回戦を突破、徐々に視界が晴れてきた。

 この日の相手、ドディグは世界ランク86位と格下だが、試合前の気分は良くなかっただろう。錦織はこれまで4度対戦。最初の対戦だった2012年のデビスカップ(デ杯)で7−5、7−6、6−3と手こずり、翌年の2戦目には負けている。昨年の全米オープンで決勝を戦ったマリン・チリッチと同じクロアチアの選手というところに、それ以上の嫌な感じがあった。錦織に関する情報を、実感とともに把握しており、そんな立ち上がりになった。

 錦織のサーブで始まった第1セット、第2ゲームにいきなり時速199キロのフラットサーブをたたきつけてきた。この第2ゲームのラリーは1本だけ。球脚の速いコートサーフェスに乗じ、錦織の立ち上がりを攻めこむ意図がありありと見て取れた。身長が198センチあるチリッチと違い、ドディグは183センチでサーブの破壊力はそこまでではない。その代わりに俊足でショットも巧みで、特にローボレー、ハーフボレーを器用にこなす。錦織にリズムをつかませないように、盛んにサーブ&ボレーを仕掛けてきた。

 ドディグはジョア・ソウザ(ブラジル)との1回戦ではほとんど使わなかったサーブ&ボレーを多用し、多くのポイントをひねり出した。ネット攻撃も1回戦の16回から34回と倍増させている。この戦術の中で、第3ゲームを早々にブレークされた錦織は、すぐ第4ゲームをブレークバックしながら、再び第5ゲームをブレークされて第1セットを奪われてしまった。

 このオフ、錦織はサービスの改善に取り組み、その成果は確かに見えているようだ。しかし、錦織は本来がリターンからゲームを作り上げていくオーソドックスなストローク・プレーヤーだ。第1セットの錦織のアンフォーストエラーがドディグの倍の12だったあたりに、ドディグの戦術がハマっているさまがうかがえて嫌な流れだった。

サーフェスにも慣れてきた

 第2セットは互いに譲らずサービスキープで進んだが、ポイントになったのは相手サーブの第12ゲームだ。錦織が30−0とチャンスをつかみかけた場面で、やや甘いフォアハンドのストレートがネットをたたいた。しかし、そのコードボールがポロリと向こう側に落ちた。思わず天を仰いで苦笑いした錦織。格下の2セットアップはプラスアルファのエネルギーをもたらすだけに、この幸運で40−0としたのは大きい。2本目のセットポイントで思い切りリターンを決めて追いついた。

 第4セットでは先にサービスブレークされ、追う展開となった。第10ゲームまでサービスブレークが取れず、順調に逆転したわけではない。それでも最後のタイブレークを制し、勝利を決めた。

「自分のサービスゲームでプレッシャーを掛けられ、嫌なところでサーブ&ボレーを使われた。難しかったですね。ストローク戦ではポイントを取れていましたが、とにかく勝つことが大事なので、良かったです。サーフェスにもだいぶ慣れてきました」

 1回戦のニコラス・アルマグロ(スペイン)も同じだったが、立ち上がりに早い展開に持ち込むという“錦織対策”ができ上がっているようだ。そこを辛抱してラリー戦に持ち込めれば、錦織自身の言葉を借りれば「勝てない相手はいない」。そのカギは、やはりリターンゲームでのリズムになるだろう。

 次の相手スティーブ・ジョンソンとは、前哨戦のブリスベン国際を含め2戦2勝。ビッグサーブ、ビッグショットの持ち主だけに要警戒ではあるが、サーフェスにも慣れてきたとは心強い。視界が晴れてきた。

(文:武田薫)
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