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今季ユナイテッドにけが人が続出した理由
プロが語る正しいプレシーズンの過ごし方

急激な負荷はフレッシュネスを失う

シーズン前半にけが人が続出したユナイテッド、その要因はプレシーズンの過ごし方にあった
シーズン前半にけが人が続出したユナイテッド、その要因はプレシーズンの過ごし方にあった【写真:Action Images/アフロ】

 日本代表がアジアカップ2連覇を目指して戦っている中、Jリーグの各クラブは新たなシーズンに向けて準備を進めている。14日にはガンバ大阪が沖縄で、16日には浦和レッズが宮崎でキャンプインした。


 しっかりオフをとって英気を養った選手たちは、すっかりフレッシュな状態でチームに合流したはずだ。その一方でトレーニングからしばらく離れていたこともあり、コンディションはこれから上げていかなければならない。つまり、プレシーズンの目的はこうなる。


 選手たちのフレッシュネス=疲労を溜めずに維持


 選手たちのコンディション=向上・改善に務める


 しかし、サッカーのコンディショニングのエキスパート、レイモンド・フェルハイエンによれば、「実際のプレシーズンでは、指導者たちは選手のコンディションを急いで上げようとし過ぎ、選手たちのフレッシュネスを落としてしまう」と憂いている。コンディションを一気に上げれば、選手とチームはすぐに公式戦を戦える状態になるが、その効果は短い。クラブチームにとって重要なのは1シーズンを通じて戦えるコンディショニングだから、徐々にトレーニングの負荷を上げていく方が望ましい。


 今季前半戦、マンチェスター・ユナイテッドはけが人が相次ぎ、その数は延べ50人を越えた。11月22日のプレミアリーグ第12節、アーセナル戦の欠場者リストはDFマルコス・ロホ、ラファエウ・ダ・シウバ、フィル・ジョーンズ、ジョニー・エバンス、MFダレイ・ブリント、FWラダメル・ファルカオだった。


 フェルハイエンは「ルイ・ファン・ハール監督のプレシーズンの失敗が、選手たちの負傷を誘発した」と厳しく批判する。


 ワールドフットボール・アカデミーの主催者であるフェルハイエンは昨年12月、オンラインセミナーにてユナイテッドのプレシーズンをケーススタディーしながら、「正しいプレシーズンの過ごし方」を日本人指導者に向けてレクチャーした。今回はユナイテッドのケーススタディーにスポットを当てて紹介しよう。

2部練習による疲労の蓄積

W杯の影響でオフが短くなる中、プレシーズンで2部練習を行うことで疲労が蓄積していた
W杯の影響でオフが短くなる中、プレシーズンで2部練習を行うことで疲労が蓄積していた【写真:ロイター/アフロ】

 2014年はワールドカップ(W杯)イヤーということもあり、トップクラブに所属する選手たちのオフは非常に短かった。ユナイテッドからは、ウェイン・ルーニー(イングランド代表)やロビン・ファン・ペルシー(オランダ代表)ら18人の選手(W杯後に獲得した選手を含む)がブラジルW杯に出場している。


 オフシーズンが短い場合、選手たちはある程度試合ができるフィットネスを保っているが、疲労は抜けてない。こういうチームにとって、プレシーズンの目的はこのようになる。


 選手たちのフレッシュネス=疲労を除いて向上させる


 選手たちのコンディション=維持に務める


 ファン・ハールという指導者は、コンディションの知識を豊富に持っており、彼が率いたオランダ代表もコンディションで他チームとの差を作りW杯で3位になった。また、ファン・ペルシーにはユナイテッドの米国遠征参加を免除している(それでもファン・ペルシーのオフは3週間しかなかった)。


 しかし、ファン・ハールのコンディショニングの知識が完全かというと、そうでもない。オランダ代表の指揮官としてファン・ハールは、オランダリーグを戦い終えたばかりの若手20人を集めて1次合宿を行ったが、長いシーズンの疲労を溜めた彼らに対して何度も強度の高い内容で2部練習を行った。


 疲労を溜めた状態で2部練習をするとリカバリーする時間がなくなり、午後の練習は午前の練習よりも質が低くなる。翌日の午前練習は24時間前の練習より質が低くなる。


 疲労も蓄積する。練習中の疲労は当然のことだが、トレーニングとトレーニングの間にしっかり疲労を取り除かなければならない。疲労が蓄積させながら練習を続けると神経システムが遅くなり、脳から筋肉へ伝わる信号が遅くなる。たとえばジャンプして着地する際、脳からの信号が筋肉に伝わっておらず、体が筋肉に守られてない状態で着地し、負傷する。疲労の蓄積はけがのリスクを高めるのだ。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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