愛媛FCの粉飾決算にJリーグ側が見解 第三者委員会を設置、さらなる原因追及へ

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我々が見てもこの決算はちょっとおかしかった

――愛媛FCは24年度の前にも2年連続して赤字を計上している。今回の修正で結果として4期連続で赤字となる。

 愛媛県には健全経営委員会というのが県内にあると聞いています。確かにこれで愛媛FCは4年連続の赤字となります。最初の年に愛媛は2000万円くらい赤字になってしまうのですが、人工芝を元の練習場から新しい練習場に移した結果、生じてしまったお金ですね。通常の収支による赤字ではないということです。次の年の赤字は赤字なのですが、数百万円程度。5億、6億円規模のクラブが何百万円か赤字になったり黒字になったりしているくらいなんですね。2億円あった資本金の内、1億8000万円の純資産があって、つまり1800万円ほどしか繰越欠損がない。ほかのJ2の同様の地方クラブからすると、健全な部類に入っていたのかなと思います。

――現時点でのJリーグの見解は内部管理に問題があったということだが、これは愛媛FCが今日発表したものとほぼ同じ。リーグとしても今の時点では同じ見方をしているということか?

 一番大きい問題は内部管理。実を言えば、我々が見てもこの決算はちょっとおかしかったんですね。中にいる人であれば、普通はすぐに分かるくらいのレベルです。決算を経理担当者が不適切に処理されたということに関して、社長・副社長を始めとした経営陣が何も気付かなかったり、事務局長体制の中で経理担当者以外に、ある程度経理が分かる上司がいないというガバナンスの欠如は大きいと感じています。加えて言うならば、やはり有資格者である公認会計士さんが、これに対して適正意見を出しているというところが、「果たして出して大丈夫だったのかな」という素朴な疑問はあります。その2つが大きな要因で、あとは経営責任もない個人の担当者がなぜそうなってしまったのか。果たしてそれがクラブの内部調査をした通りなのか。それは別次元として第三者による調査を待ちたいと思います。

――制裁に関連して、現在、愛媛FCにはJ1クラブライセンスが与えられているが、これがJ2のライセンスに落ちるといった処分はあり得るのか?

 2つありまして、クラブライセンスという立場で見ると、今のところは(J1とJ2の)ライセンスには(スタジアムの収容人員が)1万5000人か1万人かというところしかありませんので、ライセンスがJ2になるということはありません。ライセンスは取れるか、取れないかだけです。一方で極論すると、制裁の処分の中には『降格処分』というのがあって、これは降格処分になることが決まっているというわけではないですが、可能性としてはそういう意味での降格はあり得ます。

――「中にいればすぐに分かるレベル」と言っていたが、どういうところが稚拙だったのか。また収入の水増しは具体的にどんな項目で行われていたのか?

 2つの質問の答えは実は一緒なんです。たとえば平成24年度で言うと、12月の決算末に未収金でした。つまり売り上げは立てているけれど、お金がまだ入ってきていませんという中に、日本サッカー協会からの未収金と、Jリーグの分配金としての未収金が、合わせて3300万円くらいの未収金となっていました。しかし、こうした仲間内の未収金があといくらあるかは、そりゃ分かるでしょう。そういうところはちゃんと見ていれば、経営者だって分かるということであります。

(取材:川端暁彦)

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