ゲームを支配した帝京大・流主将 6連覇を実現させた「戦術眼」
「試合を遠目に見てプレーを選択できた」
試合後の会見で報道陣の質問に答える流。試合に出られない4年生への思いを語った。 【斉藤健仁】
「紅き王者」の中心で、常にタクトを振っていたのが142人の部員を束ねるSH(スクラムハーフ)流大主将だ。「ながれ・ゆたか」と読む。表彰式で、気丈に振る舞いながらも目の奥を赤くしていた。「メンバー外の4年生を笑顔にすることができてうれしかった。彼らを見たら自然と涙が出てきてしまいました」(流)
流は、滑川剛人(現・トヨタ自動車)がチームを去った後、2年生からレギュラーとして「9番」を背負い続けた。決勝の舞台でも、その経験で培われた判断を見せ、パスとキックでゲームを支配する。岩出雅之監督も「(流の)コントロールする力が成長した」と目を細めた。「決勝は気合いが入って他の選手の視野が狭くなるかなと思っていた。だから僕は冷静になって試合を遠目に見てプレーを選択できたかな」(流)
好判断が生み出した「勝負を決めたトライ」
後半14分、流の好判断から1年生WTB尾崎が素晴らしいステップで相手を抜き去ってトライ 【斉藤健仁】
左タッチライン際で相手が反則、流がクイックリスタート。SO(スタンドオフ)松田力也(2年)にパスし、最後はルーキーWTB(ウイング)尾崎晟也(1年)が素晴らしいステップでインゴールに飛び込んだ(31対7)。「味方から『タッチ(に出せ)』という声も聞こえていましたが、相手は休んで後ろを見ていたメンバーもいた。良い判断、良いスキルを使ってトライが取れました」(流)
全国区の選手ではなかった荒尾高時代
「自分が成長できる」と選んだ帝京大で中心選手として常勝軍団を支えた 【斉藤健仁】
大学は「憧れていた」という早稲田大進学も考えたが、帝京大が初優勝時の4年生に荒尾の先輩のLO(ロック)中田晃司(現ホンダ)、FB(フルバック)船津光(現JR九州)らがおり、「環境も良かったし自分が成長できる」と帝京大へ進学。「1〜2年時は自分のことしか考えていなかった(苦笑)」と振り返ったように、個の研さんに励み、2年時からは「アタック・シェイプ」の中心選手として常勝軍団を支えた。