テニスのボールパーソン初体験 プロの技を体感! 絶好の教材に
ボールパーソンの仕事って?
慶應チャレンジャーは学生メインで運営、試合前には庭球部の部員による事前講習がある 【写真:sabumasa】
サーバーにボールを渡す前の姿勢。要求されていないのに勝手に投げてはいけません 【写真:sabumasa】
プロの大会で同時に使われるボールは4つ。試合前のウォーミングアップから最初の7ゲーム終了時、それ以降は9ゲームごとに新しいボールと交換します。大抵の選手は4つのボールの中からふたつを選んで使うので、ボーラーは毎回多めに渡し、使わなかったボールはボーラーに戻されます。
ネット傍のボーラーはボールがネットしたらすぐ動けるようスタンバイして待ちます 【写真:sabumasa】
その役割の中でボールパーソンに求められるのは、選手が自分のリズムでボールやタオルを扱えるようにする黒子となることでしょう。しかもスピーディーでなければいけません。
時々、選手から突然タオルを要求されます。試合の流れや彼らのジェスチャーもしっかり見ておく必要があります 【写真:sabumasa】
慣れの先にあった、意外な気付き
プレイ中、ボーラーは小休止。そんなときでもボールや選手の動きに着目することで意外な気付きを発見できる 【写真:sabumasa】
まず感じたのは、サーブにしてもショットにしても飛んでくるボールがとんでもなく速い! 正直恐怖心さえ覚えました。そして、コートや壁などに当たったボールがどう跳ねるのか予測できないので、ボールを追いかける自分が妙にあたふたしている気がしてなりません。
その中でもいくつかゲームを重ねる中で、他のボーラーや選手の動きを見て、どう動けばよりスピーディーになれるか、選手にとってやりやすいか少しずつ分かってきました。自分のグループは5人体制。ボーラー経験のある人は1人だけでしたが、他の人たちも少しずつコツを掴んでいるのが目に見えて分かり、次第にボーラー同士で暗黙の連携も生まれていきました。ボールをスムーズに送るのを手伝ってくれる選手や、ボールをペアであるサーバーに代わって受け取り渡してあげる選手もいました。
シングルス1試合とダブルス2試合を担当して、勝負の行方ではなく、ボールや選手の動きに着目して試合を見たことで、いろいろな気付きがありました。
それは、意外にも一般プレイヤーにも通じるものだったのです。
後日テニススクールでレッスンに臨んだ時、コートの内外、試合の流れ、ペアや対戦相手などを今まで以上に注意深く見ている自分がいました。
テニススクールや試合で自分のことに集中するあまり、周りの人にボールを取りに行かせるばかりで気の利かない“お地蔵さん”になっていないか、誰かに送るボールが取りにくくなっていないか?……など、自分の振舞いを見直す格好の教材だったのです。
テニスを愛する沢山の人に挑戦してほしい!
プロの試合に関わる以上、ルールを知っていることはもちろん必要ですが、実戦経験の少ない初期プレイヤーにボールパーソンにはオススメだと思います。もちろん、レベルに応じてそれぞれの気付きがあるはず。
大会期間中にボールパーソンを務めたのはのべ約180名で、これら外部スタッフの管理を行った庭球部3年の西本恵さんによると、テニススクールでの宣伝なども積極的に行ったものの、学生以外の参加者はわずか5名ほどだったそうです。とてももったいないと感じました。なぜなら、過去最大の観客動員となった2014年、平日休日問わず試合観戦をしていた人の大多数が大人だったからです。テニス仲間にボールパーソンをやることを伝えたところ、返ってくるのは揃って「気にはなったけど、なんとなく尻込みしちゃって……」といった言葉でした。
現在、日本では一般プレイヤーがボールパーソンになれる機会は余りありませんが、今年も慶應チャレンジャーでは一般公募を行う予定とのこと。今度は沢山の人に臆せず挑戦してほしい! そんな想いで記事を書くことにしました。