錦織選手が世界にアピールした1年 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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 あけましておめでとうございます。いつもご愛読ありがとうございます。
 早速、私の2014年5大ニュースの2位と1位を紹介します。

信念を貫き通す強さ

引退記者会見で涙をみせたリー・ナ 【写真:ロイター/アフロ】

 第2位は「リー・ナ(中国)の引退」です。私が彼女と初めて対戦したのは、00年のフェドカップ・アジア/オセアニア予選でした。まだ世界的には無名の選手でしたから、その登場はセンセーショナルで、「すごい子がいるな」と強い印象を受けました。
 その後、彼女と中国テニス協会との関係が悪化した時期もあったのですが、それを乗り越え、世界のトップに上りつめました。
 才能に恵まれ、体格にも恵まれていて、メンタルも積極的で世界に出ていっても気後れしない強さを持っていました。それらが重なって、あの彼女のテニスを確立したのだと思います。
 四大大会では全仏と全豪で優勝。アジア人でもグランドスラムを取ることができるというのを見せてくれました。自分の国や協会と戦ったくらい押しの強い選手ですから、そこがいい形で出たと思います。信念を貫き通す強さを見せてくれました。まさに中国のテニス界のパイオニアで、その後も選手が続いて出てきているのは彼女のおかげでしょうね。 昨年もグランドスラムの全豪を取りましたし(ひざに故障をかかえているのは十分わかっていたのですが)体力的にもまだ十分やれると見ていました。ところが引退すると聞いて、ケガも含めて相当に多くのものを乗り越え、これ以上はプッシュできないところまでプッシュしてきたんだな、とあらためて実感しました。
 いつも明るくポジティブなオーラを振りまく人でしたね。ウイナーズスピーチもユーモアにあふれ、彼女らしさがよく出ていました。

「もう、感謝しかない」

全米オープンで準優勝と活躍し世界ランキング・トップ5入りを果たした錦織 【写真:アフロスポーツ】

 では、いよいよ第1位、「錦織圭(日清食品)選手の世界ランキング・トップ5入り」です。
 日本では、普段テニスを見ていない方もテレビを見てくださるようになりました。グランドスラム決勝進出、そしてツアーファイナル出場と、今まで日本のファンが見たことのない夢を見させてくれて、感動と勇気を与えてくれました。同じ選手の立場であった私も「もう、感謝しかない」という気持ちです。
 上位陣を見ると、ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバック・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)と10年以上もテニス界を支配していた選手たちが健在で、そのほかの選手とは実力差があると思われていました。その男子テニスで、錦織選手が堂々の5位。しかも、上位との対戦成績も、ナダルを除けばほとんど互角で勝敗を分けています。驚きであると同時に、彼の才能と実力にあらためて脱帽、という感じですね。
 躍進の最大の要因はマイケル・チャンコーチの影響力でしょう。一緒にワークしてきた成果が、技術のみならず体力面、精神面でもあらわれたからこそ、すべてが底上げされたのだと思います。総合力、すべての面でレベルアップした成果ですね。
 成績もそうですし、プレーの内容を見ても、「錦織圭」という存在を世界にアピールした1年だったと思います。  

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