静学にまつわる不思議な因縁 1年生GKで19年ぶりの決勝進出なるか
2回戦を6−0と佐賀東に圧勝した静岡学園。「1年生GKがレギュラーの時は決勝まで行く」という不思議な因縁があるという 【写真は共同】
「静岡学園」と「1年生GK」、そして「19」という数字――。この3つには不思議な因縁がある。
「1年生のGKがレギュラーで出ているときは、選手権の決勝まで行っているんですよ。(前回の決勝進出は)19年前です。その19年前にも森下(申一)さんが出ている」と川口修監督は明かす。静岡学園は1995年度の第74回大会を、1年生GK南雄太(現横浜FC)の活躍で制している。その19年前、つまり76年度の第55回大会で旋風を巻き起こし、準優勝を決めたときのGK森下も1年生だった。
今年の守護神は山ノ井拓巳。ジェフ千葉U−15から加入した1年生だ。185センチの長身や将来性はもちろん、「静岡県の予選でもそうだったけれど、大舞台でビッグセーブがある」という勝負強さがその魅力だ。山ノ井が前半最初の決定機を「アレは本当にビッグセーブ」(川口監督)という好守で食い止め、チームを波に乗せた。終わってみれば6−0という完勝だった。
ドリブルやショートパスからの崩しは、伝統的に彼らが強みとするところだろう。ハードワーク、タイトな守備も相応に積み重ねてきた部分だと言っていい。しかしセットプレーは彼らの“泣きどころ”だった。
静岡県予選(4試合)をわずか1失点で勝ち上がった静岡学園だが、唯一の失点もセットプレー絡みだ。しかし佐賀東戦では「(今季の)公式戦はおそらく1点しか取れていない」(川口修監督)というセットプレーから2得点を挙げ、1失点も許さなかった。キャプテンの石渡旭は「自分たちはいつもセットプレーで取られる側だった。それが取れたのでうれしい」と喜ぶ。
セットプレーは攻撃と守備が背中合わせだ。川口監督は「要はセットプレーで点が取れないから、守り方も分からない。(セットプレーで)点が取れないチームは絶対に守れない」と分析する。練習を積んで攻撃の迫力を出すことで、守備は鍛えられる。守備が堅くなることで、攻撃も鋭くなる――。それがセットプレーの鉄則だ。
弱みを強みにした、静岡学園の快勝だった。もちろん1試合ですべてを評価はできないし、相手のCKも今日は2本に止まっている。とはいえ時間を割いて取り組んだセットプレー対策が結果につながったことは彼らの自信になるだろう。川口監督も「課題だったので、非常に良かったしうれしい」と笑顔を見せていた。
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