箱根駅伝、激化必至のシード権争い 先手奪取が鉄則、5区も大きな鍵に
“花の2区”より重い5区
前回大会、往路12位の帝京大は復路で挽回し8位でシード圏内に滑り込んだ 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
注目はダニエル・ムイバ・キトニー(日本大3年)だ。前回は寒さ対策が万全でなく区間10位に終わったが、1万メートル28分02秒の力を発揮すれば、区間賞候補だ。総合力でやや劣勢の日本大は、キトニーで大きなアドバンテージを築きそうだ。
帝京大、拓殖大、国学院大、中央大は5区に前回の走者を起用。一歩もひかない構えだ。前回の区間順位では、尾上慎太郎(拓殖大4年)の9位が最高だ。また中央学院大は及川佑太、上武大は松元航(ともに4年)と経験者を補欠登録し、選手変更で登録する可能性もある。城西大は前回6区6位の菊池聡之(2年)を起用。箱根駅伝には「下れたら、上れる」という言葉があるが、それを体現できるか。
日本体育大は1年生の小町昌矢を起用。順天堂大や創価大とともに、未知の部分があるが、基本的には各校もリスクを回避し、確実にこなす作戦と見た。
復路の追い上げは可能か
この傾向を打ち破る可能性のあるチームは、帝京大、国学院大などのスタミナ型のチームだろう。意外なのは、中央大が第83〜88回大会の6大会のうち4回、往路11位以下からシード権を獲得している。
また、往路で先頭から10分以上遅れたチームは、6区で繰り上げスタートになることから、見た目の順位と実際の順位が違う場合が多い。例えば前回、帝京大の蛯名聡勝(現・小森コーポレーション)が7区で9人抜きを演じたが、これは6区に上位チームと集団で同時スタートしたことに起因したごぼう抜きで、総合順位に変化はなかった。そんな珍現象の中、浮上は容易ではない。
今大会も、シード権争いはし烈を極めるだろうが、各校がブレーキなく、持てる力を発揮して大手町に帰ってくることを願いたい。