データ分析がスポーツ界に起こす革新 アナリスト協会が発足イベントを開催

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スポーツの世界では“勝利”を得るためにデータ分析は必須。その重要性の認識のため日本スポーツアナリスト協会はカンファレンスを開催した 【写真:アフロスポーツ】

 日本スポーツアナリスト協会(JSAA)は21日、「SAJ2014 −スポーツアナリティクスジャパン2014−」を都内で開催した。同協会はスポーツに関するデータや数値の分析(スポーツアナリティクス)に携わる“スポーツアナリスト”が、競技を超えて連携強化及び促進する団体として発足。勝利のためには欠かせないものとなりつつあるデータ分析の重要性を広く認識してもらい、スポーツアナリティクスの価値向上を目指している。
 第1回カンファレンスとなる今回は、「スポーツアナリティクスの未来を拓く」をテーマに有識者8人が講演を行った。

実績を残すデータの革新

同協会の代表理事を務める渡辺氏は、バレーボール全日本女子チームのチーフアナリストをしている 【スポーツナビ】

 最初の講演者として、同協会の代表理事で、バレーボール全日本女子チームのチーフアナリストを務める渡辺啓太氏が登壇。渡辺氏は自身が全日本チームに携わり始めた2004年から、銅メダルを獲得した12年ロンドン五輪、そして現在に至るまでの情報環境の変化を具体的に紹介した。バレーボールにおいては、眞鍋政義監督が試合中にタブレット端末を常備していることが象徴するように、ここ数年、データや情報を活用し戦っていることが分かるだろう。そのデータは代表選考の場にも及び、クラブチームにおける失点率、得点率などの詳細なデータを把握したり、また試合中にはタブレット端末にリプレー映像が送られ監督がすぐに確認したり、ベンチではプレー中の選手の心拍数を把握するモニターが設置されるなど、情報分野での革新が進んでいる。この傾向は世界共通で、眞鍋監督のようにタブレット端末を持って指揮を執る監督やコーチが増加傾向にあると解説した。

 次に演台に立ったのはSAPジャパン・バイスプレジデントの馬場渉氏。馬場氏は「スポーツアナリティクスの可能性」と題し、ビジネス、経営側の観点から情報分析の重要性を説いた。
サッカーW杯ブラジル大会を制したドイツ代表やF1のマクラーレン、タイヤメーカーのピレリに限らず、12年の米国大統領選挙を制したバラク・オバマ陣営に代表される通り、海外ではスポーツ界だけでなく多くの企業、団体でもビッグデータを分析し、「勝利」に近づく方法を導いている。一方、日本ではデータなどを利用した事実に基づいた意思決定が苦手で、そこに課題があると話す。馬場氏は、著名な経営学者ピーター・ドラッカーの言葉を引用し「変化の先頭に立たない限り生き残ることはできない」と、旧来の方法からの脱却の必要性を説いた。

強化現場における情報の利用法

元五輪メダリストの河合氏。日本スケート連盟のコーチ時代には、情報戦略スタッフを配置するなどを行った 【スポーツナビ】

 続いて選手強化の現場に立つ関係者3人も登壇した。1人目は日本スポーツ振興センター(JSC)マルチサポート事業ディレクターの河合季信氏。1992年アルベールビル冬季五輪のショートトラックリレーで銅メダルを獲得した河合氏は、引退後に日本スケート連盟のコーチとして日本代表選手の指導にあたっており、情報戦略スタッフを配置するなどを行っていた。
 講演ではコーチがアナリストに期待することとして、「自身の仮説、持論の確認」「自分では気がつかない新しい発見」「結果の紹介だけでなく課題解決策の提案」という3点を挙げ、アナリストには「シンプルでわかりやすいデータ提供が求められる」と述べている。

 2人目の登壇者として、JSCで卓球のパフォーマンス分析にあたる池袋晴彦氏が、映像を用いた分析について説明した。試合データと紐付けた動画分析についての具体例を挙げ、卓球において得点になる確立が高い“サービスからの3球目”の映像だけをピックアップして分析している事例などを紹介した。

 3人目はJSAAの理事で、JSCではフェンシングの分析に携わる千葉洋平氏が登壇。12年ロンドン五輪で団体種目では同競技初のメダルを獲得した男子フルーレチームにおける事例を紹介した。準々決勝で対戦したロンドン五輪金メダリストの中国代表・雷声に対し、過去の膨大な試合データから弱点を洗い出し、それに基づいた対策を選手が講じたことで勝利を奪えた実体験を例とし、「情報は常に収集、分析、活用について検証が必要」と話した。講演の締めとして「どんなプロセスを経て結果が組み上がったかが、未知の局面に出会ったときの対応力をつくる」という将棋の羽生善治名人の言葉を紹介した。

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