内山高志の価値を再確認する大みそか=ファンが望むV9戦圧勝からの海外へ
破格の強打と高い技術を兼備
2014年度大みそかにイスラエル・ペレスとの9度目の防衛戦に臨むWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志 【スポーツナビ】
「もっと上のステージに立つためにも、圧倒的な強さで勝たなきゃいけないと思っています」
かねてから「スーパーフェザー級で最強を証明したい」と話してきた内山も目の前のイスラエル・ペレス(アルゼンチン/27勝16KO2敗1分)との防衛戦に向けて、力強く決意を語った。ここに来て、11月22日に3度目の防衛を果たしたWBC王者の三浦隆司(帝拳)との統一戦の可能性が再浮上してきた。内山も「今やれば面白くなると思う」と進境著しい国内の対抗王者の存在を認め、前向きなコメントを残しているが、本音は3度目の防衛戦で圧勝(8ラウンド終了TKO)している三浦との再戦より海外進出だろう。
世界に通用する可能性を秘めた王者
内山と対戦するのは、2000年のシドニー五輪に出場し、アマチュア経験も豊富なペレス 【船橋真二郎】
今春には、アメリカ・トップランク社のボブ・アラムプロモーターが非公式ながらガルシアの対戦候補に内山の名前を挙げたこともあった。だが、これは興行を放映するHBOが前向きでなかったとも言われ、またガルシアとトップランクの間にビジネス面のトラブルが生じたこともあり、立ち消えとなった。さまざまな思惑や事情が絡み合う交渉事だけに、ことはそう簡単ではないが、35歳になった内山に残された時間は限られている。プロモーターである渡辺均・ワタナベジム会長が望んでいるのは連続防衛記録の更新のようだが、今はそんな数字だけにとらわれるべき時代ではない。世界的な潮流は、ベルトすらも飛び越え、誰に勝ったかで評価と価値が定まる傾向にある。軽量級に人材がひしめく日本にあって、世界的にも層の厚いスーパーフェザー級でこれほどの可能性を秘めた世界王者が出現するのは、果たして何年後になるのだろうか。もし内山をこのまま海外に送り出せなかったら、内山本人だけにとどまらず、後々、悔いを残すことになるのではないか。
今までと硬さ、衝撃が違う右拳
昨年大みそかの金子大樹戦以来の一戦となる内山だが「大丈夫です」とブランクでの不安を一掃 【花田裕次郎】
強い右を打ち込めるようになったことで何より大きいのは、気兼ねなく試合を組み立てられるようになること。ここ3年間は右を見せパンチに左フックや左アッパーで仕留めるなど、左だけを軸に展開を考えなければならなかったが「前よりもいろいろと考えながら試合でやりたいことができると思いますし、試合に臨む気持ちが楽ですね」と内山は言う。
かみ合う相手に存分な強さを発揮
9度目の防衛戦に圧勝し、ファンからも望まれる海外でのビッグマッチが実現なるか!? 【スポーツナビ】
公開練習を視察した佐々木トレーナーは「バランスがいいですね。パンチは一発一発握り込んで打つ感じで硬そうですが、回転は速くない」と分析した。ペレスの試合映像を見た限りでは、ジャブからじっくりと展開をつくっていくスタイルや距離感が内山と似ている面もあると感じられた。その点については佐々木トレーナーもうなずき、「内山さんとはかみ合うと思う」と話す。だからこそ、両者のクオリティの違いが明確に示されることになるだろう。V8王者に対し、パワーも遜色なく、スキルと戦略で上回っているとペレスは自信満々に語ったが、久々に右拳の故障という足かせが外れた内山の強さとうまさがどれほどのものか、存分に味わわされることになりそうだ。2015年こそは内山を海外へ――。12月31日は“内山高志の価値”を再確認する日になる。
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