ニューフェース続々の14年=杉山愛コラム「愛's EYE」

WOWOW

盛り上がり魅せたアジア

アジアの4都市で開催されたIPTLには、モンフィス(右)、イバノビッチ(右から2番目)らも参加し、盛り上がりを見せた 【Getty Images】

 2014年を「5大ニュース」の形で振り返ってみます。

 5位は「アジアでのテニスの盛り上がり」。女子のツアー最終戦となるWTAファイナルズが初めてシンガポールで開催されました。またシーズンオフにはIPTL(インターナショナル・プレミア・テニス・リーグ)がマニラ(フィリピン)、シンガポール、ニューデリー(インド)、ドバイ(アラブ首長国連邦)のアジアの4都市で開催され、どちらも大成功しました。
 これまでにもドーハ(カタール)でツアー最終戦が行われたことはありましたが、今回のシンガポールでの開催は、アジアにおけるテニスの盛り上がりを象徴しているように思います。

 選手もアジアでの開催をエンジョイしているように見えました。
 エキシビションマッチのIPTLには、往年の名選手から、現役で活躍している選手まで、豪華なメンバーが参加しました。チーム戦形式なので、全員で作戦を考えたり、ツアーのぴりぴりした感じとは違って、みんなで楽しむ雰囲気でしたね。
 参加したダニエラ(・ハンチュコバ/スロバキア)が写真を見せてくれたのですが、プライベートジェットで移動したり、みんな和気あいあいで本当に楽しそうでした。
 オフには個々にエキシビションに出る選手もいるのですが、チーム戦は今までになかった試み。テニス選手はオフでも忙しいな、というのと、これだけニーズがあるというのは選手としてはありがたいことだと思います。

テニスはパワーだけでない

 4位は「若手の台頭」です。女子はセリーナ・ウィリアムズ(米国)がナンバーワンで君臨する時代が続いていますが、少しずつ変動が起きています。なかでもシモーナ・ハレップ(ルーマニア)とユージェニー・ブシャール(カナダ)は、「新星が現れたな」という印象です。

 ブシャール選手は正直、トップの地位に上がるにはもう少し時間がかかると思っていました。ですが、特にグランドスラム(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)でのパフォーマンスが安定していて素晴らしいと感じます。大舞台で力を発揮するのは、ひとつの才能でしょうし、そういう舞台が似合う選手でもありますね。

 個人的には、ハレップ選手を前から買っていました。体格には恵まれていませんが、フットワークと頭の良さで勝負する選手で、見ていて「よく考えているな」「面白いテニスだな」と感じます。テニスはパワーだけではないということを証明してくれていますね。そういう選手がグランドスラムの全仏でも、もう少しで優勝というところまでいく。そこがテニスの面白さだとあらためて思います。インタビューしても「トップ10なんて信じられない」など、コメントは控えめです。それでも、やるべきことに徹し、自分を信じられるようになったことで結果も付いてきたという感じがします。

錦織らニューフェイスの活躍

ATPツアーファイナルにも出場した、錦織、ワウリンカ、チリッチ、ラオニッチらは、『BIG4』の時代に終止符を打つのか!? 【写真:ロイター/アフロ】

 3位は「男子テニスの勢力図の変化」です。

 ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)が支配した時代から、ノバック・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(英国)が加わった“BIG4”の時代と、10年近く上位の顔ぶれは変わりませんでした。
 その時代が長かったため、次にどういう選手が食い込んでくるか想像すらできませんでした。ですが、14年は年頭の全豪でいきなりスタン・ワウリンカ(スイス)が優勝、ウィンブルドンではグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)とミロシュ・ラオニッチ(カナダ)というニューフェイスが出てきました。

 そして、全米ではマリン・チリッチ(クロアチア)と錦織圭選手(日清食品)が決勝に。グランドスラムの決勝の舞台に“BIG4”の名前がないのは新鮮でしたね。今までの決まったメンバーではなく、新しい顔がこうして一気に出てきたのは驚きでした。新旧交代とまではいかなくても、動いているな、流れているなと実感できました。

 一方で、フェデラーは33歳であれだけ素晴らしいパフォーマンスを見せています。若手が出てきているのはテニス界にとって良いニュースですし、しかも上の誰かが落ちてきたわけでもない。だから今の男子テニスが面白いのだと思います。


 それでは、1位と2位に関しては、次回の更新でお伝えしますね。
■バックナンバーはWOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)「愛's EYE」へ!
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/column/


◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

★全豪オープンテニス
 2015シーズン最初のグランドスラムとなる全豪オープンテニス。初優勝を目指す錦織圭の戦いなど、現地の感動と興奮を圧倒的なボリュームで全14日間連日生中継!
 2015年1月19日(月)〜2月1日(日)連日生中継[初日無料放送]

★錦織圭 世界の頂点へ!全豪オープンテニス開幕直前スペシャル!
 2015年1月18日(日)午後0:15

★錦織圭出場予定! クーヨン・クラシック
 日本人初グランドスラム優勝を目指す錦織圭が出場予定の「クーヨン・クラシック」を生中継。全豪の前哨戦として2015年を占う特別な4日間を全日程無料放送でお届け。
 2015年1月13日(火)〜1月16日(金)連日生中継[すべて無料放送]
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント