スポーツに投資の有効性はあるか? スポンサーシップの進化と可能性を探る

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老舗企業のスポーツ新規参入

企業とスポーツの新しい関係に、桑田氏も大いに賛同。スポンサーの支援はアスリートのパフォーマンスにも直結する 【桑田式スポーツK営学】

 日本企業に関しては、西川産業、味の素の担当者をゲストとして招き、老舗企業のスポーツ業界参入を掘り下げている。寝具を扱う西川産業は、サッカーの2選手、三浦知良(横浜FC)、ブラジル代表のネイマール(バルセロナ)と契約して話題を呼んだ。味の素は赤字続きの事業を、マス広告からアスリートへとアプローチを転換することで見事に立て直した。

 この2社にフォーカスしたのには、もちろん意味がある。遠藤氏が説明する。
「1500年に創業した西川産業がなぜスポーツにお金を出したのか、どうやって成功したのか、が純粋に知りたかったのです。堅い会社だからきっとスポーツにお金は出さないだろうというイメージをうまく覆してくれました。味の素は赤字事業がスポーツで当たった理由は何だろう、ということでオファーを出しました」
 
 桑田氏はアスリートの視点から「私はいつもトレーニング、栄養、休養が大事と言っているんですが、今回はそれにピタッとはまる話でしたよね。今の選手はいろいろ活用できる環境にあるので、今後さらに高いレベルの試合が見られると思いますよ」と話し、選手のパフォーマンスを高める企業の支援を歓迎した。

ビジネスマンへの静かなメッセージ

 今回、スポンサーシップを取り上げるにあたって、遠藤氏には密かに期待していることがある。番組はビジネスマンへの静かなメッセージにもなっている。

「普通にビジネスをしている人にとっても、考え方によってはスポーツはすごい有効な投資対象だと思います。ちょっとした考え1つで、スポーツマーケティングはできます。西川産業、味の素がそうであるように、いろいろな業界の人が、スポーツを使ったら火がつく、うまくいくかもしれない。スポーツにはそれだけの力があるコンテンツです。生意気かもしれませんが、そこに気づいてほしいなと思います。『年末あんなことをやっていたから、年明けちょっとやってみようかな』『事業計画書を書いてみようかな』なんて、一般のビジネスマンが感じてもらえれば、僕らはハッピーですね」

 そんな遠藤氏の課題は、「年1回では寂しい」という声に応えること。幸い、3年目を迎えて番組のステータスは向上し、番組宣伝などでバックアップも受けているという。それを知ってか知らずか、桑田氏は次を見据え、「ゴルフ界に切り込みたい」と意気込む。「男女はもちろん、米国、欧州、日本のゴルフの比較から、スポンサー、育成方法などを勉強したいですね」。

 次回以降がどうなるかはさておき、これを機に、スポーツと企業の関係をあらためて考えてみてはいかがだろうか。ビジネスを知ればスポーツはもっと楽しくなる。スポーツを知ればビジネスはもっと広がる。可能性に限界はない。

(取材・文:今成裕/スポーツナビ)

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