井上尚弥が築く新しい伝説への第一歩=たった1年で東洋王者から2階級制覇へ
駆け足ぶりに井上も「相当早い」
ことし1年で東洋王者から一気に2階級制覇挑戦へこぎつけた“怪物”井上尚弥 【平野貴也】
その駆け足ぶりは、井上自身も「相当(ペースが)早い。昨年の試合を終えたときには、4月に世界戦が出来るとも思っていなかったし、1年後に(当時より2階級上の)スーパーフライ級で戦うなんて考えもしなかった」と驚くほどだ。4戦目で日本王座、5戦目で東洋太平洋王座、6戦目で世界王座といずれも国内最短記録を更新した若者は、2階級制覇の最短記録(井岡一翔の11試合)まで塗り替えようとしている。まだ21歳という若さに、末恐ろしい物を感じずにはいられない。
打たせずに打つボクシング
打たせずに打つボクシングを身上に、ことし4月には国内最短となる6戦目で世界王座を獲得した 【t.SAKUMA】
しかも、9月の初防衛戦で明らかな減量苦の影響を見せた井上は、プロ8戦目をスーパーフライ級で迎えるにあたり「この時期(試合の11日前)でも練習を追い込めている。減量着を着なくても汗が出ている。ライトフライ級のときに比べると、力強いパンチを打てる。2階級上げた不安はないし、むしろ(減量が厳しくなった)ライトフライ級で強いチャンピオンと対戦する方が大変。自分が一番動ける階級で試合をして、いいパフォーマンスと結果を出すことが大事。ボクシング自体は大きくは変わらないけど、微妙なパンチ力やラウンド毎の足の使い方は、少なくともライトフライ級よりもいい動きができる。そこは、自分としても楽しみ」と話した。本領発揮は、まだこれからという楽しみがある。
46戦1敗の王者との世代交代マッチ
30日には46戦で1敗のみという伝説の王者ナルバエスに立ち向かう。新たな尚弥伝説を築けるか!? 【平野貴也】
ディフェンスの堅いナルバエスを、前後のフットワークと上下の打ち分けを駆使する井上がどのように攻略するのかがポイントだ。大橋秀行会長は「相手は伝説の王者だが、新しい伝説が始まる日になる。尚弥伝説の第一歩になる」と煽る。いきなり2階級を上げた背景には、スーパーフライ級に“伝説の王者”井上を築く考えがあるからだ。井上も「世代交代というか、これからは自分がスーパーフライ級(の主役)でやっていく気持ちでチャンピオンになりたい」と王座奪取を宣言した。若き「怪物」が放つ今の輝きは、伝説の序章に過ぎない。12月30日は、そんな確信を得る1日になるのかもしれない。
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