中村和裕、引退試合でDEEP王座陥落 家族に感謝「また違う人生に向けて頑張る」

長谷川亮

柔道からMMA転向で強豪撃破

引退の10カウントゴングを聞く中村和裕。柔道から転向し、PRIDEや戦極、DREAMなどを舞台に戦ってきたMMA人生に幕を閉じた 【田栗かおる】

「DEEP 70 IMPACT」が21日、東京・ディファ有明で開催された。メインイベントはDEEPミドル級タイトルマッチにして王者・中村和裕の引退試合。中西良行を挑戦者にラストマッチを行った。

 柔道をベースとする中村は全日本実業柔道個人選手権優勝、ドイツ国際柔道大会優勝といった実績を上げ、井上康生、鈴木桂治らとともに全日本強化選手入り。その後、03年1月に吉田道場入りしてプロ格闘家へ転向すると、同年3月「PRIDE25」でのアントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ戦でデビューした。

 ヘビー級主体であった当時のPRIDEで貴重な日本人戦力となった中村は、キャリアのないまま強豪を相手に連戦となるも、ダニエル・グレイシー、ドスカラス・ジュニア、ムリーロ・ブスタマンチ、ステファン・レコ、ケビン・ランデルマン、イゴール・ボブチャンチン、近藤有己、エヴァンゲリスタ・サイボーグといった世界の実力者を撃破。敗れはしたが、ダン・ヘンダーソン、ヴァンダレイ・シウバ、ジョシュ・バーネット、マウリシオ・ショーグンとも拳を交えた。

ラストマッチは大差判定で敗戦

ミドル級王者としての引退試合は中西良行とのタイトルマッチに臨んだが、判定0−5で敗れた 【田栗かおる】

 PRIDE休止後はUFC、戦極、DREAMと、いずれもメジャー団体を渡り歩き、キャリア後期はDEEPを主戦場にミドル級王者として活躍した。

 昨年引退した長南亮のように、ラストマッチにしてタイトルマッチという形となった中村は、サウスポーの中西に対し距離を保って右ストレート、左右ボディストレート、ハイキックと打撃での展開を狙うが、1階級上のDEEPライトヘビー級・現王者でもある中西が、圧力を生かしたタックルを決め、次第に優位となっていく。

 2R最後には「あれで流れを持って行かれた」と中村も認めるように中西がマウントポジションからパンチとヒジ打ちをまとめ、3Rにもやはり中西がタックルからテイクダウンし、ヒジを集めるなどして優勢で終了。

 5人制ジャッジで行われるDEEPのタイトルマッチで、中西は5−0と判定で支持を受け、ラストマッチの中村を破りDEEPミドル級新王者に輝いた。

引退後は大学で助教

引退セレモニーでは家族をリングに上げて、深い感謝を伝えた 【田栗かおる】

 ベルトを保持したままの引退とはならなかった中村だが、引退セレモニーでは母と妻子をリングに上げ、「これからはこういう心配かけないから」「また違う人生に向けて頑張ろう」と思いを告げつつ深く感謝した。

「“悔しい”っていうのと“やり切った”っていうのが交互にあった」とバックステージで試合を振り返った中村。来春から大学でスポーツマネジメント科の助教となることを明かし、MMAも柔道同様、試合や練習を通じて己を作り、それを社会で生かしていく学問であったと晴れやかな表情を見せた。

 そのほか、大会セミファイナルではDEEPウェルター級タイトルマッチが行われ、王者・悠太が元王者の白井祐矢を初回TKOで下し、初防衛を成し遂げた。

大会結果

セミファイナルではDEEPウェルター級タイトルマッチが行われ、王者・悠太が元王者の白井祐矢を初回TKOで下した 【田栗かおる】

■「DEEP 70 IMPACT 〜中村和裕引退興行〜」
12月21日(日)東京・ディファ有明

<第15試合 メインイベント DEEPミドル級タイトルマッチ 5分3R>
○中西良行(TRIBE TOKYO M.M.A/挑戦者、ライトヘビー級王者)
(判定5−0)
●中村和裕(チームカズ/王者)
※中西が新王者に輝く

<第14試合 セミファイナル DEEPウェルター級タイトルマッチ 5分3R>
○悠太(ALLIANCE/王者)
(1R2分34秒 TKO)
×白井祐矢(TRIBE TOKYO M.M.A/挑戦者、元王者)
※悠太が王座防衛

<第13試合 ライト級 5分3R>
○中村大介(U−FILE CAMP/夕月堂本舗)
(3R0分11秒 TKO)
●福本よう一(頂柔術/NATURAL 9)

<第12試合 ライト級 5分3R>
○岩瀬茂俊(T−BLOOD)
(2R3分40秒 TKO)
●田村ヒビキ(パラエストラ大阪)

<第11試合 バンタム級 5分3R>
○石司晃一(Brightness)
(判定3−0)
●遠藤大翼(和術慧舟會IGGY HAND'S GYM)

<第10試合 ライト級 5分2R>
○大原樹里(KIBAマーシャルアーツクラブ)
(1R3分17秒 TKO)
●マテウス・イリエ・ネキオ(PUREBRED大宮)

<第9試合 ライト級 5分2R>
○勝木星太(蒼天塾横浜)
(判定3−0)
●岸野紘樹(R−BLOOD)

<蛭川高重 引退エキシビションマッチ 2分1R>
−蛭川高重(TRIBE TOKYO M.M.A)
−清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A)

<第8試合 ウェルター級 5分2R>
○鈴木JAPAN(AACC)
(判定2−0)
●米田奈央(D+)

<第7試合 バンタム級 5分2R>
○五月女健(R−BLOOD)
(判定3−0)
●ハシャーン・フヒト(NEX)

<第6試合 フェザー級 5分2R>
○オーロラ☆ユーキ(KIBAマーシャルアーツクラブ)
(判定3−0)
●大金剛(R−BLOOD)

<第5試合 ライト級 5分2R>
○沼尻和之(マッハ道場)
(1R1分57秒 TKO)
●ライガー成田(GRABAKA)

<第4試合 バンタム級 5分2R>
○やますドミネーターさとし(T−BLOOD)
(1R1分40秒 横洗濯挟み)
●安部路人(漢塾)

<第3試合 ライト級 5分2R>
○友實たつや(パラエストラ川崎)
(2R1分26秒 チョークスリーパー)
●塚越和司(R−BLOOD)

<第2試合 フライ級 5分2R>
○安谷屋智弘(闘心)
(判定3−0)
●山中憲次(PUREBRED大宮)

<第1試合 バンタム級 5分2R>
○杉山晋哉(リバーサルジム新宿Me,We)
(判定3−0)
●小川顕広(CAVE)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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