日本馬9頭の勝算、ズバリ分析!=奥野庸介の香港国際競走 展望

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年度代表馬デザインズオンローマ復調

デザインズオンローマが香港年度代表馬の底力を見せつけるか 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

■香港カップ

 スタンド前の発走ですぐに1コーナーを迎える2000m戦は圧倒的に内枠が有利。G1香港Cでも、ここ3年連続で1番枠を引いた馬が勝っていることがなによりの証だ。

 国際レーティングで120を上回っている実力馬が4頭いる。フランスの古豪シリュスデゼーグル(123)、地元の二冠馬デザインズオンローマ(123)、この1歳上のライバル、ミリタリーアタック(123)、それに前哨戦のG2ジョッキークラブCでゴール前、きっちりと差しきったブレイジングスピード(121)だ。日本から遠征のアルキメデスは111で上位陣とは開きがあるように見えるが、日本馬のレベルを考えると数字ほどの差はないのではないか。

 展開はJ.ムーア厩舎が用意するセイムワールドがペースメーカー役を務め、同厩のデザインズオンローマをアシストする。ミリタリーアタック、シリュスデゼーグル、ブレイジングスピードらは中団を進み、デザインズオンローマはいつものように最後方に待機するだろう。3コーナーあたりでレースが動き、有力馬が一気に進出、デザインズオンローマにもエンジンがかかる。9月に幕を開けた新シーズンでは3戦して勝てずにいるデザインズオンローマだが、陣営がここに狙いを絞っていることは明白。中間の調教にも復調気配が漂う。年度代表馬をたぐり寄せた3月の香港ダービーや4月のG1クイーンエリザベス2世Cの豪脚が再び見られそうだ。

 2番手以下は混戦も予想される。良馬場ならシリュスデゼーグルより厩舎を変わって心機一転のミリタリーアタックや、前哨戦快勝のブレイジングスピードの方を上に取りたい。穴馬には4月のG1オーストラリアダービーで素晴らしい脚力を披露したクリテリオンと、ここは久々だが、3月のG2中山記念でジャスタウェイから3馬身半差2着したアルキメデスを挙げる。

◎デザインズオンローマ
〇ミリタリーアタック
☆ブレイジングスピード
△シリュスデゼーグル
△クリテリオン
△アルキメデス

日本馬フィエロのスピードに魅力

フィエロのスピードは香港マイルの強力メンバーの中でも魅力的 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

■香港マイル

 レーティングのトップはエイブルフレンドとゴールドファンの122。昨年のG1香港マイルの覇者グロリアスデイズが121で続き、地元勢が優勢ムード。これに楔を打ち込む可能性を秘めるジャパンカルテットはグランプリボス119、フィエロ116、ハナズゴール114(牝馬なので実質は118)、ワールドエース114の順となっている。

 前哨戦のG2ジョッキークラブマイルでゴールドファンを2馬身1/4ちぎったエイブルフレンドの力量はここでも抜けているように思える。グロリアスデイズは昨年もG1安田記念以来のぶっつけで、このレースをものにしたが、今回の顔ぶれは間違いなく昨年より強力。単穴評価が妥当か。

 日本勢は香港で腕の冴えを見せる福永騎手のフィエロが1番枠を引いて、どう仕掛けるか。グランプリボス、ワールドエース、ハナズゴールは直線に賭けることになりそうだ。

 シャティンのマイル戦は向正面の引込み線からの発走。最初のコーナーまで700mあることからペースは落ち着く傾向にある。G2ジョッキークラブマイルではエイブルフレンドと同厩(J.ムーア厩舎)のシークレットシャム(111)が逃げ馬を突っつき、ゴールドファンは3番手だったが、本番では正攻法に戻ってゴールドファンが逃げる公算が大きい。エイブルフレンドのJ.モレイラ騎手が、どのタイミングで仕掛けるかによって、最後の1ハロンが違ってくる。ゴールドファンがしぶとく粘り込むようなら香港馬のワンツーが濃厚。

 日本馬は決め手勝負の展開で活路を開く。2頭のG1ウイナーの地力も捨てがたいが、G1マイルチャンピオンシップでダノンシャークとハナ差を争ったフィエロのスピードや、地元の名手Z.パートン騎手で変身しそうなワールドエースに魅力を感じる。一昨年の覇者アンビシャスドラゴンは中間に一頓挫あって、印を下げた。

◎エイブルフレンド
〇ゴールドファン
▲グロリアスデイズ
☆フィエロ
△ワールドエース
△アンビシャスドラゴン

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