二冠女傑の血を引くココロノアイでGIを=阪神JFは来春クラシックへの通過点に

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オークスを逃げ切るくらいのスタミナ

「例えばオークスを逃げ切るくらい」と尾関師はココロノアイのスタミナを絶賛する 【netkeiba.com】

 美浦トレセンに入厩したのは6月初旬だった。ゲート試験もスムーズにクリアし、しごく順調に調教を積んで、7月19日に福島競馬場でデビューする。

「元々牧場での評価も高くて、その流れでこちらに来てからも良い動きをしてくれていました。ウチの厩舎としては、入厩してからデビューまでの期間は短い方でしたね」

 だがデビュー戦では、スタート直後に他馬にぶつけられるという不利を受ける。

「新馬戦にしては厳しい競馬だったと思います。普通、牝馬なら全くレースにならない可能性もあったと思うんですけど、それで2着ですからね。そのあたりが気持ちの強さなのかなと思います」。負けはしたが、直線だけで2着に突っ込んできたココロノアイの素質の高さを改めて感じる一戦となった。

 初勝利は9月6日、新潟での未勝利戦だった。「1.7倍の1番人気で、しかも結構スローな流れを後方からの競馬になって、直線に入ってもなかなか動かなくてどうなるかと思いましたが、最後に伸びてきた脚はさすがでしたね」

 2戦目で未勝利を脱し、続くアルテミスSでは重賞ウィナーの仲間入りを果たした。しかしアオリ気味でスタートを切って、途中引っ掛かって一気に3番手まで上がっていったレース振りは、必ずしも行儀の良いレースではなかった。ただあれだけ力みながら走って、後続を封じ込めたあたり、相当なスタミナも持ち合わせているのは間違いない。尾関も「例えばオークスを逃げ切るくらいのスタミナはありそうな感じがしています」と、スタミナには自信を持っているようだ。

 だが、今後大きなレースを狙う上では、気性面が課題ともなりそうだ。「これをどうするというのは、なかなか難しいものがありますけどね」と尾関は苦笑いを浮かべたが、調教で工夫もしている。「馬が横に並んだ時に燃えやすいので、ゆっくり走れる角馬場で併せ馬で慣れるように練習をしています。1週前追い切りでは、折り合いをうまくつけられましたし、その点は良かったと思いますね」。少しずつだが、常識にかかった走りが身に着いてもきたようだ。

潜在能力の高さはマックスビューティ譲り

マックスビューティの血が再び花開こうとしている 【netkeiba.com】

 2009年に開業以来、モンストール(2012年皐月賞・9着、ダービー・12着他)やサクラプレジール(2013年オークス・14着、秋華賞・17着)、サクラゴスペル(2013年高松宮記念・4着、安田記念・5着他)等でGI出走経験はあるものの、まだ勝利には手が届いていない尾関だが、「新馬、新潟2歳S、アルテミスS、阪神JFというローテーションをデビュー前は考えていました。新馬戦に勝てなかったことで、新潟2歳Sが未勝利戦になった以外は、考えていた通りになっていると思います」というように、ココロノアイにはデビュー前からGI制覇の可能性を感じていたようだ。そして描かれたこの青写真には、しっかりした理由があった。

「阪神JFや桜花賞は右回りですからデビュー戦は福島を経験させて、大きな競馬場(東京)でのマイルのレースはクラシックにも直結しますので、そういうイメージでレースを選んできました。気が入りやすい分、疲れも出やすいと思いますので、リフレッシュさせる意味で、レースの後は必ず短期放牧を挟むローテーションでここまで来ています」

 尾関にとって阪神JFは、もちろん勝ちたいレースでもあるが、クラシックに向けての通過点とも言えそうだ。

 ほぼ青写真通り進んできたココロノアイ。気性が勝っているだけに輸送が気になるところだが「こればかりはその時にならないとわかりませんが、福島や新潟への輸送は問題はなかったですね。それに割と物怖じしない性格なんですよ」と、通常通り順調に輸送がなされれば、さほど心配はいらないようだ。

「マックスビューティは頭が高い走りでしたけど、この馬は全身を使って走りますね。でもポテンシャルの高さと気の強さは、マックスビューティ譲りなのかなと思います」

 若き日にテレビで目にした女傑・マックスビューティの血を引くココロノアイで、尾関は2歳女王の座、そしてクラシックに狙いを定めている。細々とだが、しっかりと繋がってきたマックスビューティの血筋が、ココロノアイによって再び花開こうとしている。(文中敬称略)

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