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宇賀地強、福岡国際で勝利の方程式確立へ
日本代表入り目指し「粘りを発揮したい」

初マラソンでドバイを選んだ理由

トラックで実績を残してきた宇賀地がマラソンに懸ける思いとは?
トラックで実績を残してきた宇賀地がマラソンに懸ける思いとは?【写真:築田純/アフロスポーツ】

 2014年1月、ドバイマラソンで初のフルマラソンに挑戦して2時間13分41秒の18位にとどまった宇賀地強(コニカミノルタ)。その後はマラソン練習に専念し、12月7日の福岡国際マラソンでの15年世界選手権(中国・北京)代表権獲得に照準を絞って走り込んでいる。9月には練習の一環としてシドニーマラソンに出場し、2時間12分18秒で4位になり着実な歩みを見せた。


「初マラソンにドバイを選んだ理由は、日本人がまだ挑戦していなかったのでやってみたいというのと、あわよくば速いレースで自分自身も結果を出せたらという思いもありました。初挑戦だったし、いろいろとチャレンジするのは1回目にしかできないという気持ちもありましたね。ただ、直前にケニアへ行ってそのまま現地に入り、正直、自分自身もなかなか体調がつかみきれなかったのもあって、不安と期待が半々でした。結局は全然レースにならなかったので、その点では甘かったのかなと思います」


 13年は1万メートルで世界選手権(ロシア・モスクワ)に出場。27分50秒79で15位になった。それがマラソン挑戦への区切りのように思えたが、実は1月のドバイ挑戦はそれ以前から決めていたという。その過程での世界選手権出場。師事する磯松大輔監督とは「世界選手権が入ったことでプラスになる部分はあるかもしれないが、マラソンの準備は若干出遅れてしまうかもしれない」と話していたという。


「夏場は一番走り込める時期なので、そこに世界選手権が入ることで若干遅れるのではと磯松監督にも言われました。でも世界選手権はそうそうチャレンジできる舞台ではないので、選ばれた以上はそこで今出せる結果を出そうと気持ちを切り換えて臨みました。モスクワでは、たまたま同じ日に女子マラソンがあって福士加代子さんが銅メダルを獲得し、そのあとの男子マラソンでは中本健太郎さんが5位になりました。でも僕の場合はけっこうやり切った感があったのに15位だったから、やるならマラソンしかないなと感じて……。自分自身の能力ではさらに突き詰めてトラックで勝負しても、もしかしたら日本記録くらいはいくかもしれないけれど、世界でメダルを取るとなったら正直、厳しいなというのもありました。その面では世界選手権を現地で経験できたのは大きかったですね」

勝負に向けた土台づくり

マラソン練習に関してはまだ手応えをつかめていないというものの、調整は順調に進んでいる
マラソン練習に関してはまだ手応えをつかめていないというものの、調整は順調に進んでいる【提供:コニカミノルタ】

 世界を見れば9月のベルリンマラソンでデニス・キメット(ケニア)が出した2時間02分57秒を最高に、2時間03分台が4人、4分台が23人もいるのが現実だ。だがペースメーカーがいない世界選手権や五輪では、そんなハイスピードなマラソンになることはない。宇賀地も「トップレベルの選手は五輪や世界選手権より、高額の賞金が出るメジャーマラソンで結果を残したいという意識の選手の方が多いとも聞きます。だから五輪での勝負なら、もしかしたら近いのかなという気がします」と言うように、2時間06分台の自己記録を持っていれば、日本選手でも十分に勝負はできるはずだ。


 さらに「せっかく中本さんや川内優輝さんがそういうふうな形で何とか食らいついてくれている部分があるので、それを僕らのような下の世代がつないでいかないと、もっともっと離されてしまうのかもしれないという気がします」とも語る。


 だがマラソン練習に関しては、トラックのように「このくらいやればこんな結果が出るだろう」というような手応えを得られないという。実際のレースになってしまえば、トップ選手との持ちタイムの差は関係ないと思えるが、その前の練習の段階ではまだ結果を予想できなくて不安に思うことも多い、と。


「そこはまだ経験が少ないと言えば少ないと思うけれど、磯松監督とは『今やっている練習を信じなければおかしくなる』という話をしています。だから、これまでのようにクロスカントリーを使っての脚づくりや体力・スタミナづくりという練習は、大きく変えずにやっています。その中でときどきスピード練習も入れていますが、きつさはあるけれど自分が思った以上に動けるというか、タイムもそれほど落ちているわけではないなと感じていますね。結果的にそれが勝負どころで生きてくればいいと思いますし、まずはその勝負に加わるための土台づくりをしてきました」

折山淑美

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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