米国で“ほとんど無視された”日米野球 高評価の日本野球だけに残念な開始時間
日本人選手は例外なく高い評価
米国で最も注目されいていたのはMLB移籍が噂される前田(左)。また、菊池(右)の好守備など、日本野球は高く評価された 【Getty Images】
「ノーヒッターに斬ってとられた第3戦では、MLBチームは恥をかかされた。ただ、先発の則本昂大をはじめとする投手たちが素晴らしかったことを忘れるべきではない。そして、それは第3戦に限った話ではなく、日本の投手陣はシリーズを通じて印象的な投球を続けた」
MLBネットワークの解説者を務めたマーク・デローサ(元カブスなど)のそんな言葉は、複数のゲームを観た人が共通して抱いた感想だったに違いない。
総じて好意的に捉えられた日本投手陣の中でも、最も頻繁に名前が語られたのは前田健太(広島)だった。近未来の渡米が現実的なこともあって、一部の記者たちは前田には少なからず注目していた様子。大会を通じて詳細なレポートを展開した数少ない米媒体の1つである『ブリーチャーレポート』は、12日の第1戦での好投後、26歳の右腕の能力をかなり具体的に検証していた。
「前田は威圧的な決め球なしでも、地球上最高の打者たちを相手に成功できることを示した。メジャーでは先発3番手以上の投手ではないと考えられているが、平均以上の球種を3つも持つ26歳のNo.3スターターには価値がある。メジャー入りを表明したら、多くのチームが獲得に興味を示しても驚くべきではない」
開始時間の配慮は不可能だったのか
完全に米国側からの視点だが、2、5つめの記述を見れば、記事の著者が日本野球のレベルに感心したことは容易に感じ取れる。投手陣の上質さだけではなく、今宮健太(福岡ソフトバンク)、菊池涼介(広島)といった内野手たちのダイナミックな守備も印象的だった。球に逆らわずにセンターから反対方向に弾き返し続けた打線も、好投手攻略のお手本を一丸となって見せてくれた。
「今回のエキジビションシリーズで、日本が誇るタレントたちが陽の目を見た。日本の野球が二線級と目されていた時代はもう終わった」
“日米野球で分かった5つの重要なこと”のそんな総評は、決して大げさには聞こえなかったのは事実である。そして……日本がそれほど良いパフォーマンスを見せたのであればなおさら、今シリーズが米国内で“ほとんど無視された大会”だったことは余計に残念にも思えた。
例えば、数試合を日本の午後1時(米国東海岸で午後11時、西海岸で午後8時)開始にするといった配慮は不可能だったのか。それが成されていれば、より多くのファンがハイレベルの日本野球を目撃できていたはず。未来の日本人メジャーリーガーたちの知名度と商品価値をアップさせる絶好機を、今回は米国内での露出不足によって逸してしまった感は否めなかった。