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侍ジャパンに潜んでいた意外な“課題”
警戒されたスモール野球、走守で結束を

急造チームの弱点、名手が犯したまさかのミス

急造チームの侍ジャパン、日米野球でも守備や走塁面で考え方や取り決めの違いが露呈した場面が見られた。写真は第5戦、セカンド菊池(右)とショート今宮がぶつかったシーン
急造チームの侍ジャパン、日米野球でも守備や走塁面で考え方や取り決めの違いが露呈した場面が見られた。写真は第5戦、セカンド菊池(右)とショート今宮がぶつかったシーン【Getty Images】

 2017年の第4回WBCを見据えるうえで、特に若手に大いなる期待が持てる結果となった日米野球。しかし、選手や首脳陣への取材を進める中で明確な課題も浮き彫りとなった。


 遊撃手の今宮健太(ソフトバンク)は23歳にして2年連続ゴールデングラブ賞に輝いている。その名手が信じられないミスを犯したのが第2戦のことだ。8回裏、先頭のゾブリスト(レイズ)の打球は今宮の後方へ上がったフライだった。今宮は背走しながら声を出し、大きなジェスチャーをとった。しかし次の瞬間、突然しゃがみ込んで中堅手の丸佳浩(広島)に打球を譲ったのである。それに驚いた丸は立ち止まり、打球はその間にポトリと落ちた(打球は中田が処理し、記録はレフトへのツーベース)。その場面こそ、急造チームである侍ジャパンの欠点だった。


「ソフトバンクでは声を出した選手が捕る。その時、周りは声を上げないんです。あの時、丸さんはたぶん『任せた!』と言ったと思うんですが、僕は声が聞こえたことに反応して追うのを止めてしまった。当たり前のことが確認できていなかったために起きたプレーでした」


 12球団それぞれに考え方や取り決めに違いがある。だが、侍ジャパンではそれを1つにまとめなければならない。

データになかったけん制やクイック、和田が明かした対策

 さらに、走塁面で「1つ」にまとめる難しさを痛感したのが村松有人外野守備走塁コーチだった。


「球団ごと、さらには選手によって走塁に対する意識にも違いはあります。小久保監督は『隙があれば1つでも先の塁を狙え』と厳しく言う人です。実際、MLBと戦ってみても、彼らは身体能力が高いですが、打球の追い方や返球などには隙が見受けられました。ただ、中にはそのような場面でも次の塁を狙う姿勢が感じられない選手もいました。難しいんですよね。彼らは現役のトッププレーヤー。言葉を選んで指摘しないといけない部分もありますから。ただ、侍ジャパンの方針なので統一しないといけない。選手たちには改めてしっかりと話すつもりです」


 また、走ることに関しては、もう一つ貴重な情報も手に入ったという。

「クイックモーションやけん制は事前にデータ収集をしていましたが、シーズン中にはやっていなかった3度続けてのけん制球があったし、クイックも割としっかりやってきました。データは大切ですが、それだけに頼れない。試合の中でいかに早く見抜き判断することができるか。それは感じさせられました」


 これに関してMLBオールスターの和田毅(カブス)は次のように話す。


「事前のミーティングでコーチから『スライドステップ(クイックモーション)はしっかりやるように』と注意がありました。日本の過去のWBCなどの戦い方を見ても、どの選手でも盗塁を仕掛けてくることは分かっていますから。普段のメジャーの野球でも対策はきちんとします。ただ、メジャーは走ってくる選手とまったく走らない選手がはっきり分かれているので、後者の場合は走者を気にせずに大きく足を上げて投げるケースはあります。『メジャーはクイックをしない』というのは、その印象で見ているからかもしれません」


 小久保ジャパンが目指す第4回WBCまであと2年半。時間はたっぷりあるが、侍ジャパンとして活動できる機会や期間は限られている。この日米野球を試金石に、侍ジャパンは更なる「結束」を求めていかなければならない。

田尻耕太郎
田尻耕太郎
 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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