F1王者争い、ダブルポイントの影響は? 17ポイント差も逆転の可能性十分

田口浩次

ハミルトンか? それともロズベルグか?

ワールドチャンピオン争いはハミルトン(左)とロズベルグ(右)に絞られた。最終戦、チームメート同士が雌雄を決する 【Getty Images】

 長いシーズンもあっという間に過ぎ、いよいよ2014年F1シーズン全19戦の最終戦、アブダビGPが21日から行われる。すでにコンストラクターズチャンピオンシップは、メルセデスAMG(651ポイント)がこれまで4年連続タイトルホルダーだったレッドブル(373ポイント)に2倍近い圧倒的な差をつけて優勝している。注目は、そのメルセデスドライバーのどちらがワールドチャンピオンとなるのか、という一点に集まっている。

 現在ランキング1位にいるのは、英国出身のルイス・ハミルトン(1985年1月7日生まれ)、カーナンバー44。今季はこれまで10勝、2位3回、3位2回、リタイア3回で334ポイントを獲得。ハミルトンは08年に、当時所属していたマクラーレンで、当時の史上最年少ワールドチャンピオンになっている(10年にセバスチャン・ベッテルが最年少記録を更新)。

 そしてランキング2位につけるのが、ドイツ出身のニコ・ロズベルグ(85年6月27日生まれ)、カーナンバー6。今季ここまで5勝、2位10回、4位1回、リタイア2回で317ポイントで、ハミルトンとは17ポイントの差がある。ちなみに、ロズベルグは82年のワールドチャンピオンであるケケ・ロズベルグの息子であり、日本人ドライバー中嶋一貴がウィリアムズに所属していたときのチームメートでもある。

昨年までならハミルトンVでほぼ決まりだが……

 まずは現在のF1におけるポイント計算ルールをおさらいしておきたい。古いファンには優勝は9ポイントという意識があるかもしれないし、さらに古いファンになると8ポイントと思うかもしれない。ドライバーズチャンピオンシップの優勝は61年までは8ポイント、その後、変更されて90年までは9ポイントだったからだ。

 現在の入賞ポイント配分は、2010年から新しくなり、優勝25ポイント、2位18ポイント、3位15ポイント、4位12ポイント、5位10ポイント、6位8ポイント、7位4ポイント、8位3ポイント、9位2ポイント、10位1ポイントとなっていて、10位までが入賞となる。このポイント配分でシーズンを戦い、その積み重ねたポイント数でチャンピオンが決定する。もし同ポイントで終えた場合は、優勝回数の差、2位の回数の差、という具合により、上位成績でのレース数が多い方を上位とする。

 それを踏まえて、今シーズンの戦績を比較すると、ハミルトンが勝利数で2倍と圧倒しているが、ポイント差は17ポイントと大きくない。その理由はハミルトンの方が1回多くリタイアしていることと、ロズベルグは2位10回と、戦績が安定しているからだ。しかし、昨年までのルールだと、17ポイント差はハミルトンがリタイアしない限り、ほぼひっくり返すことは不可能だった。ロズベルグがたとえ優勝しても、ハミルトンが7位以下でなければチャンピオンのチャンスはなかった。計算はこうだ。ロズベルグが優勝して25ポイント獲得すると、8ポイント差をつけて逆転する。だが、6位でハミルトンが8ポイントを獲得すると同ポイントとなり、ハミルトンの優勝回数が多いため、ハミルトンがチャンピオンとなる。

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