“大谷”以上!打たれない金子千尋の直球 MLB打線相手に注目の投球の妙
日米野球・第2戦で先発するオリックス・金子。今季のデータを元にその投球を分析した 【写真は共同】
こよいの先発投手は、金子千尋(オリックス)。前田と並び日本プロ野球が誇る右腕がマウンドに上がる。自身の移籍報道なども絡み、いやが上にも注目が集まる中、沢村賞右腕としての実力を発揮できるか。今回はデータの観点から見どころを探ってみたい。
データが示す金子のピッチングの特徴とは?
このようなイメージを、実際のデータから探ってみよう。今季、金子が投じた球種はストレート、シュート、カーブ、スライダー、カットボール、スプリット、チェンジアップ、シンカーの計8種。イメージだけでなく、実際に多彩な球種を操っている。そのうち、ストレートを投じる割合は3割程度。右打者に対してはシュート、左打者に対してはカットボール、スプリットといった球種の割合が若干多くなる傾向にある。どれだけ安打を打たれたかを示す被打率では、対右打者が2割8厘、対左打者が2割4分5厘と、対左に少し分が悪いが、どちらに対しても優秀な数字を残している。
対右、対左ともに巧みな投球術で打者を翻弄(ほんろう)する金子だが、中でも最大の特徴は、実はストレートの質の高さにある。数多くの球種を巧みに操りながら、今季はストレートの被打率が2割を切っているのだ。一般的な投手でいけば、ストレートの被打率は2割台中盤から後半が多い。いわゆる“決め球”という変化球が1割台の被打率を誇ることが多いのだが、金子はストレート自体が決め球になるほどのクオリティーを持つのだ。これは、同僚の佐藤達也(オリックス)など、ストレートを武器にアウトを重ねていくリリーフピッチャーと変わらない水準の数値だ。ちなみに、最速162キロを誇る大谷の同データは2割5分ほどである。そのことからも、金子のストレートの質の高さがうかがえるだろう。
さらに数字を探ると、単にストレートの質が高いだけでなく、「ストレートを生かす配球」をしていることが、より金子のストレートを打てないものにしている。金子は、0ストライク時、1ストライク時より、2ストライク時の方がストレートを多く投じていた(0ストライク時は30.4%、1ストライク時は29.1%、2ストライク時は39.1%)。変化球でカウントを稼ぎ、決め球としてストレートを使うという特徴があったのだ。
注目の金子vs.MLB打線
日本では高いクオリティーを誇るストレートを生かす投球が、MLB打線相手に通用するかに、ぜひ注目してほしい。ちなみに前田は得意球のスライダーを武器に5回を2安打に封じたが、奪った三振はわずか2つしかなかった。その後をつないだ牧田らは1つも三振を奪うことがなく、1試合通じて奪三振は2つのみと、完封こそしたものの、バットには当てられていたという事実もある。毎年のように奪三振王ランキングに名を連ねる金子の投球が、MLBオールスターからいくつ三振を奪えるかというのも、注視したいところだ。
くしくも、今夜のMLB側の先発マウンドには、かつて同じリーグで雌雄を分かち合った岩隈久志(マリナーズ)が上がる。日本で確かな実績を残し、満を持して移籍したMLBでも活躍。今季も15勝を挙げ、さらに評価を上げた右腕の姿は、どこか金子に通じるものがある。両雄による至極の投手戦。80球という球数制限はあるが、ぜひとも長く、楽しみたいものだ。
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