村主章枝「未来に気持ちが向いている」 現役引退会見 一問一答

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村主章枝が現役引退を発表。記者会見では終始穏やかな笑顔を見せていた 【スポーツナビ】

 フィギュアスケーターの村主章枝(Kappa)が13日、都内で記者会見を行い現役引退を発表した。

 村主は2002年ソルトレークシティ5位、06年トリノ4位と五輪で2大会連続入賞を果たし、世界選手権では3度のメダル獲得、全日本選手権も計5回の優勝と、国内外で輝かしい戦績を残した。しかし、2日まで行われていた東日本選手権で8位に終わり、全日本選手権への出場を逃したことで「このあたりが潮時かなと思った」と決意。18年平昌五輪時には37歳になることも要因となった。

 引退後はプロの振付師を目指し、数々のトップスケーターの振付を担当し、村主が“師匠”と仰ぐローリー・ニコル氏に師事する。

 以下は、村主の会見での一問一答の要旨。

「ここで決断をしないといけない」

――引退を表明した今の率直な気持ちは?

 やはり28年間にわたって競技者として続けてきましたので、さびしい思いというのももちろんありますけれど、一方で私にとっては、ここからがコリオグラファー(振付師)としてスタートの日ということもありますので、どちらかと言いますとさびしい気持ちよりも未来に気持ちが向いているというのが率直な心境です。

――五輪の舞台にもう一度という思いで現役を続けてきたということだが、このタイミングで引退を決意した理由は?

 競技者として五輪を目指してきましたので、先日行われた東日本選手権で、全日本選手権に出場できないという現実を見た時に、次回の五輪は年齢的に37歳ということもありますし、なかなか厳しいのかなと思いました。

 初めて出場したソルトレーク五輪で、五輪の舞台というのはこんなにも空気が澄んでいてきれいで、まるで聖地のように感じました。その場所にまた行きたいという一心でトリノ五輪に出場するために一生懸命に練習し、実際、トリノ五輪ではその当時持っていた力をすべて発揮したと思います。しかし、あと一歩でメダルに届かないという結果になり、自分の中で「自分には何かが足りなかった」という思いがありました。本当にこの五輪という場所に魅了されて、五輪という素晴らしい場所で魔法にかけられて、「自分には足りなかった何か」というものを発見するには、やはり同じ五輪という場でないと解決できないだろうということで五輪にずっとこだわって滑ってきました。ですから、やはりそこがなかなか難しいかもしれないという現実を先日の東日本選手権で見た時に、ここである程度決断をしないといけないのかなという思いに至りました。

――これだけ長く現役を続けてきて現役へのこだわりはあったと思うが、相当悩まれたのでは?

 もちろん簡単に出た結論ではなかったんですけれども、私が15の時からの振付師であるローリー・ニコルにスケートの魅力というものをずっと教えていただいて、若い時から彼女のようにスケートの伝統や魅力を伝えていけるようになれたらいいなという夢を抱いていました。競技者として自分がスケートの魅力を滑って伝えることはできなくなりますが、今後は自分の作る作品をスケーターを通じてたくさんの方に見ていただくことができるので、ものすごく前に進めなくて困ったということはありませんでした。

――一番思い出深い大会や演技は?

 やはりトリノ五輪が一番記憶に残っている大会です。本当に空気が澄んでいて聖地のような場所で、自分は100パーセントに近い演技をすることができましたが、今一歩足りなかったということがありました。そこで「五輪の魔法にかけられた」ということを言ったと思うんですけれど、そういった意味で私は五輪の魅力をずっと感じていました。でも、五輪という素晴らしい場所で何か足りない自分がいて、これはもう一度五輪に出場して、何が足りなかったのかを発見しなければいけないという、五輪にこだわる要因になった試合がトリノ五輪だったので、私の中では一番印象に残っているかなと思います。

――今後はどのようなスケーターを育てていきたいか?

 師匠であるローリー・ニコルはフィギュアスケートの伝統、魅力を教えてくれました。今シーズンから新しいルールになって、ボーカルあり(の曲の使用)が許可されるようになり、フィギュアスケートがまた新しい方向に向いていると思うんですね。そのような中で、ローリー・ニコルから受け継いだ技術や伝統というものを自分なりに斬新なスタイルで伝えていけたらいいかなと思います。本当にそれこそ羽生(結弦)選手などに「ぜひ振付をしていただきたい」と言っていただける振付師になれるよう努力していきたいと思います。

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