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エディージャパンが見せた3年間の真価
マオリ戦にあった明確な意図

一週間で「40点差」が「2点差」に

第2戦はWTB山田のトライなどで格上のチームを相手に健闘した
第2戦はWTB山田のトライなどで格上のチームを相手に健闘した【斉藤健仁】

 来年、秋にイングランドで開かれるラグビーワールドカップ(W杯)まであと1年を切った11月、ラグビー日本代表(JAPAN XV)は1日(ノエビアスタジアム神戸)と8日(秩父宮ラグビー場)にマオリ・オールブラックスと対戦。初戦は21対61と大敗。続く2戦目は試合終了3分前までリードしたが18対20と惜敗した。40点差から2点差へ――、それぞれの試合には3年前から日本代表を率いる名将エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)の明確な意図があった。


 ちなみに、マオリ・オールブラックスとはニュージーランドのマオリ民族の血を少しでも引いている選手たちから構成され、1910年からの伝統を持つチームで、2003年以降、国代表チーム相手に無敗。今回のツアーは若い選手も多かったが、ジョーンズHCが「世界ランキング6位〜7位に相当する」と評価していたように、スーパーラグビーでプレーする選手も多数おり、いわば本家オールブラックスに準じるチームだった。

田中、堀江ら中心選手不在でのチャレンジ

試合前に「ハカ」を披露するマオリ・オールブラックス
試合前に「ハカ」を披露するマオリ・オールブラックス【斉藤健仁】

 まず、1試合目。スーパーラグビープレイヤーでもあるHO堀江翔太、SH田中史朗の2人、さらにNo.8ホラニ龍コリニアシ(以上パナソニック)、WTB福岡堅樹(筑波大3年)、藤田慶和(早稲田大3年)ら中心選手がケガなどで不在でも、アタッキング・ラグビーを標榜する日本代表は攻撃にこだわった。「今日はどこからでも攻める状況をつくった」というジョーンズHCは「0から100」、つまり自陣から相手ゴールラインまでアタックを継続するよう指示した。


 W杯に向けて、若い選手の強化、そしてスクラム以外の新たな強みを見つけることが目的だった。だが相手の接点を捨てて早く広がるディフェンスが機能していたこと、開始早々にSO田村優(NEC)がケガをしたこと、宮崎合宿で練習の強度を「上げすぎた」(FB五郎丸歩/ヤマハ発動機)ことなどの影響で、自らのミスから相手の素早いカウンターで8トライ中6トライを献上。「相手は接点でのパワーと攻守の切り替えが良く、日本代表にとって良いレッスンになった」(ジョーンズHC)

第2戦は「もっとスマートに」

キック、パス、自らの突破と判断が光ったSO小野
キック、パス、自らの突破と判断が光ったSO小野【斉藤健仁】

 続く2試合目。エディージャパンとなって以来、昨年のニュージーランド代表戦に次ぐ大敗後、3年間の真価が問われる戦いだった。「もっとスマートにプレーできれば良い試合になる」と指揮官が断言した通り、いわば“W杯仕様”の日本代表の姿がそこにはあった。


 まずSO小野晃征(サントリー)、FB五郎丸を中心に“賢く”キックを使った。自陣奥深くからだけでなく、ハーフウェイから自陣22m内ではボールを動かしてから、しっかりスペースにキックを蹴ってワンバウンド以上でタッチを狙った。タッチに出ない場合もしっかりとほかの選手がそろって前に出て相手のアタックに備える。実は3年前から菅平の夏合宿で3年連続、練習で落とし込んできた形でもある。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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