日米野球は日本野球を認めさせるチャンス 小宮山悟が期待「MLBを本気にさせよ」

スポーツナビ

阪神・巨人連合を相手に3発のアーチをかけたMLBオールスターチーム。侍ジャパンは彼らを本気にできるか 【写真は共同】

 いよいよきょう12日から「2014 SUZUKI 日米野球」が開幕する。ア・リーグ首位打者のホセ・アルテューベ(アストロズ)やナ・リーグ首位打者のジャスティン・モーノー(ロッキーズ)、そしてロビンソン・カノ(マリナーズ)ら豪華メンバーで来日したMLBオールスターチームに対し、日本代表「侍ジャパン」はどんな野球を見せてくれるだろうか?

 スポーツナビでは日米球界で活躍した小宮山悟氏に今大会の見どころについて、話を聞いた。

MLBのプライドを刺激できるか

――8年ぶりとなる日米野球の注目ポイントはどこにありますか?

 最大の見どころは、MLBチームを侍ジャパンがいかに本気にさせるかということです。まず重要なのは日米の温度差。MLBチームが真剣に日本をつぶしにきているか、と言ったら決してそうではありません。また、シーズンが終わって時間が経ってからの試合になりますから、MLBチームがどれだけ準備をしてきたか、という疑問があります。しかし、MLBチームもプライドがあります。そのプライドを刺激するような状況に持ち込むことができれば、かなり面白い試合展開になるので、それを期待しますね。

――プライドを刺激するというと、やはり負かすことですか?

 目の前でやられた、という屈辱感みたいなものがないと、たぶん(闘志が)湧き上がってこないと思います。プライドをくすぐって侍ジャパンが「彼らには負けない」という野球をしてくれると、かなり面白い試合になると思います。
 それができなかった場合、ボールの違い、重さ、飛ばないだったりがあるので、MLBチームに、コテンパンにやられる可能性もあると思います。メジャーリーガーの打力は相当なものですから。あとはピッチャーが動くボールを投げるので、ゴロの山を築く可能性も出てくる。その辺でやられるようだと、ちょっと(シリーズの)終盤、面白くない試合になってしまう気がしますね。

――そうしますと、シリーズ後半戦の方がむしろ面白みが増すかもしれないということでしょうか?

 (MLBが)真剣にやっているというのを見ることができれば、十分だと思いますよ。打席やマウンドでメジャーリーガーたちに「こいつはちょっと違うぞ」という雰囲気にさせること。侍ジャパンが望んでいる土俵に引きずり込むことができたら、それは合格ですよ。MLBの感覚で言うと、ワールドシリーズが終わった後に、野球をするということはハテナなわけですよ。そのハテナを侍ジャパンが真剣に野球をすることで払拭してくれたら、こんな素晴らしいことはないですね。

 過去の日米野球では、家族をダグアウトに入れているメジャーリーガーもいた。そういうことのないように、本当に真剣にピリピリしたような雰囲気が漂う試合をさせたいですね。

日本の選手は自分の力を試す良い機会

――小宮山さんも現役時代に日米野球に出場されていますが、まずは相手を本気にさせようという意識は日本チームにあったのでしょうか?

 今回のように2017年WBCの強化という目的の試合ではありませんでしたので、どちらかと言うと、「MLBでやりたい」という思いを持った個人が意欲的に参加しているイメージでした。
 個人的にはMLBで野球をやってみたいというおぼろげながらの思いを抱いていましたから、参加を重ねるごとに真剣に「MLBでやる」気持ちを強くしていきました。ですので、自分の力量を確認する非常に良い機会だったと思います。

 今回もファンの皆さんも顔と名前が一致するような有名な選手たちが来日していますから、MLBでプレーしたいと思っている日本の選手は自分の力量を試す良い機会でしょう。練習は積めていない状況かもしれませんが、MLBの選手たちの記憶には残ります。そういう機会を大事にしてもらえればと期待します。ひょっとしたら2年後、3年後に今回の侍ジャパンの選手がMLBに行って、ぎゃふんと言わせているんじゃないかと想像しながら見ると、ファンの皆さんも楽しめるでしょう。

――小宮山さんが日米野球に出場されたときは何を試したのですか?

 私は球速が速くないですから、遅いボールがどの程度通用するのか、という点です。その中で、一番自信のあるカーブがどれくらい通用するかを試しました。有効に使えるという手応えを感じられたので、ありがたかったですね。

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