大逆転でナビスコ杯を制したG大阪 勝ち上がりながらつかんだ確かな自信

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ベテラン+若手+優良助っ人外国人

2得点を挙げMVPを獲得したパトリック。優勝に大きく貢献した 【写真:アフロスポーツ】

 今季のG大阪のここまでの歩みを振り返ると、決して順風満帆だったわけではない。序盤は宇佐美のけがにより得点力不足に苦しみ、リーグ戦でも中断前(第14節終了時)には16位と低迷していた。

 長谷川健太監督が「若い選手が頑張って、ベテランの選手がうまくチームをまとめたのが大きかった。ナビスコ杯の勝ち上がりとともにチームが自信をつけてたくましくなっていった」と振り返っているように、遠藤や今野が日本代表で不在の間も試合が行われるなか、明神智和や二川孝広らベテランがチームを支え、ナビスコ杯で5得点を挙げる活躍を見せた宇佐美、決勝ゴールを決めた大森ら若手の活躍で勝ち進んできた。

 加えて、7月に期限付き移籍で加入したパトリックの存在も見逃せない。決勝戦で2得点を挙げMVPに輝いた男に、長谷川監督も「あそこまで機能するとは思わなかった」と称賛を惜しまない。前線でパスを受け、縦に抜け出すスピードとパワーを武器に、チームを活性化させた。パトリックも「ここでは監督も含めて選手たちが信頼してくれている。自分の長所を理解してもらっている」とチームに居心地の良さを感じているようだ。

 07年の優勝を知る修羅場を経験してきたベテランに、勢いのある若手、そしてピタリとはまった助っ人外国人と今のG大阪は総合力の高いチームに仕上がっている。

タイトル獲得に必要な“何か”

三冠の可能性を残すG大阪。ナビスコ杯で得た自信は彼らにさらなるタイトルをもたらすのか 【写真:アフロスポーツ】

 広島は10年に続き、ナビスコ杯2回目の決勝に敗れ準優勝に終わった。今年のゼロックススーパーカップには勝ったが、元日に行われた天皇杯決勝では敗れている。リーグ戦では2連覇を達成しており、決して勝負弱いチームなわけではないにもかかわらず、1発勝負の決勝戦で勝つことができていない。試合後、青山は「また準優勝で、“何か”が足りない。その“何か”は自分たちで見つけ出していかないといけない」と話しているが、タイトル獲得には何が必要なのだろうか。

“何か”にはさまざまな要素が考えられるが、G大阪は7年前のナビスコ杯や、08年と09年の天皇杯連覇、08年のACL(AFCチャンピオンズリーグ)という1発勝負の決勝戦で勝った経験がある。さらに、長谷川監督は「昨年J2を戦って、勝ち方を知っている選手が多かった」とJ2を制した昨季の経験が大きかったと語っている。厳しい試合の勝ち方を知る選手たちに、ナビスコ杯を勝ち上がりながらつかんだ自信と勢いが加わったのがいまのG大阪だ。

「タイトルを取ったからこそ、あと2つ」(宇佐美)

 ナビスコ杯に加え、リーグ戦、天皇杯と三冠の可能性を残す彼らは、まだまだ貪欲に勝利を求めている。G大阪が挑む次なる大一番は22日のJ1第32節、この日決勝を戦った埼玉スタジアムで行われる首位・浦和レッズとのアウェーゲームだ。この試合に敗れた時点で浦和の優勝が決まってしまう。遠藤が「今日以上にタフなゲーム」と語ったように、厳しい戦いになるのは間違いない。

 残る2つのタイトルでも、ナビスコ杯制覇で得た経験や自信、そして勢いを発揮することはできるのか。G大阪の真価が問われる日はまたすぐにやってくる。

(取材・文 豊田真大/スポーツナビ)

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