大逆転でナビスコ杯を制したG大阪 勝ち上がりながらつかんだ確かな自信

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チームを救った前半のゴール

ナビスコ杯決勝は、2点差を逆転したG大阪が7年ぶり2度目の優勝を飾った 【写真:アフロスポーツ】

「どれだけ早くガンバ(大阪)にタイトルをもたらすことができるかというのは、夢であり自分で掲げたテーマだった」

 試合終了前から涙をこらえられず号泣していた宇佐美貴史は優勝の喜びをそう表現し、他の選手たちも終了の笛が鳴り響いた瞬間に、ピッチで喜びを爆発させた。

 11月8日に埼玉スタジアム2002で行われたヤマザキナビスコカップ(ナビスコ杯)決勝は、G大阪がサンフレッチェ広島に3−2で逆転勝利。2007年以来2度目の優勝を飾った。

 選手たちの喜びをより大きなものにしたのは、この試合が広島の佐藤寿人に前半20分と前半35分に得点を決められ、0−2とリードを許す展開だったからかもしれない。2点目を決められた瞬間について、今野泰幸は「正直まずいと思いました」と話し、宇佐美は「諦めかけました。終わったかなと一瞬思ってしまった」と語っており、G大阪は序盤からかなり苦しい状況に追い込まれていた。

 しかし、2点目を決められてからわずか3分後、前半38分にキャプテン・遠藤保仁がチームを救った。左サイドからのクロスでパトリックのヘディングゴールを演出。前半を1−2と1点差で終えることに成功した。

 このゴールについて、宇佐美は「あの1点に尽きるかなと思います」と話しており、その後の試合の流れを大きく引き寄せた。

遠藤が発揮した戦況を読む力

G大阪にとって前半のうちに1点返せたことが大きかった。ゴールを演出した遠藤の戦術眼が光る 【写真:アフロスポーツ】

 この日、遠藤は「センターバックとボランチの間、できれば真ん中の厳しいところでボールをもらいながら、前を向いて周りを使いたい」という狙いから、いつものボランチではなく、4−3−1−2のトップ下で先発。しかし、同様の布陣で臨んだ今季の広島戦、9月13日のJ1第23節(1−0)や9月10日の天皇杯ラウンド16(3−1)ではまっていたという戦術も、この日の遠藤はボールをなかなか受けることができず。機能しているとは言いがたかった。

 すると、「あまりボールが入ってこなかったので、状況を見て(前半の)30分以降からはずっと外に流れながらボールを受けようと思っていた」と語る遠藤は、左右に開いてボールを呼び込み、チャンスを創出。前述のとおり、中央のポジションを離れ、左サイドからアシストした。その戦術眼とここぞという場面での仕事ぶりには、広島のキャプテン・青山敏弘も脱帽だ。

「自分にはゲームをコントロールする力がまだないし、(リードしてから)攻撃でも守備でもリーダーシップを取って落ち着かせないといけなかった。あの位置に(遠藤が)いることがちょっとおかしいし、自分たちの予想外のところを突いてきた。あの1点ですべてが変わったかもしれないし、それを作り出したのは遠藤さん。その差が結果になる。それが痛いほど分かりました」

 その後、チームは後半9分に再びパトリック、後半26分には大森晃太郎のゴールで勝ち越しに成功。見事に栄冠をつかんだ。

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