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王者・内村航平が越えた「25歳のヤマ」
次代のオールラウンダーを牽引

厳しい連戦を乗り切って

厳しい連戦を乗り切りチームを優勝に導いた内村航平
厳しい連戦を乗り切りチームを優勝に導いた内村航平【写真:アフロスポーツ】

 体操の団体日本一を決める全日本団体選手権決勝が11月2日、東京・代々木体育館で行われ、世界選手権個人総合5連覇中のエース内村航平を擁するコナミが、2年連続4度目の優勝を飾った。


 内村は6種目中4種目に出場。最初のゆかでこの種目のトップタイである15.650をマークすると、続くあん馬でも15.200を出してチームを牽引(けんいん)した。跳馬ではシューフェルトで珍しくラインオーバーがあったものの、14.850とまずまずの得点。最終の鉄棒では美しさの際立つ演技でトップタイの15.600をたたき出し、コナミを圧勝に導いた。

「チーム全体で18演技をミスなくできたという意味で、(2位だった)世界選手権より今日の方が良かった。『一番になる』という強い気持ちが結果を生んだ。この先もずっと連覇を重ねていきたい」


 充実の表情の向こうには、厳しい連戦を乗り切ったという安堵(あんど)感がある。全日本シニア選手権(旧社会人選手権)があった9月13日からの約1カ月半で、世界選手権、長崎がんばらんば国体、全日本団体選手権と4大会に連続出場。「休んでしまうと動けなくなる。休まず維持することで、疲労はあっても動ける体になる」と疲れた体にむちを打ちながら練習を続けてきた。

「25歳のヤマ」を意識

全日本団体選手権男子で2年連続4回目の優勝を果たしたコナミ
全日本団体選手権男子で2年連続4回目の優勝を果たしたコナミ【末永裕樹】

 今回は世界選手権と比べれば難度を下げているが、ミスのない美しい演技でEスコアを稼ぐ姿は世界チャンピオンの貫禄十分だ。団体選手権ということでチームごとの応援が繰り広げられる中、内村の演技には常に会場全体の視線を集めていた。


 2008年に「北京五輪銀メダル」という鮮烈な世界デビューを飾ってから6年がたった内村も25歳。今年は「25歳のヤマ」を意識しながらの戦いだった。4月のワールドカップ東京大会で、コナミの先輩たちに「25歳からちょっとずつ来るよ」と助言されていることを明かした。十分な心構えを持ってはいたが、実際に年齢という壁と対峙(たいじ)してみると疲労回復が遅いなど、若いころとは違うあらがいが確かにあった。

「極力無理はしないようにしている。6種目通して練習できそうだ、という日でも、2日連続やることは避けて、1日集中してやったら、次の日は休めながらやっている。ケガにだけは本当に気を付けている」


 ところが5月の全日本個人総合選手権直前、平行棒のドミトリエンコを練習しているときに肩から背中にかけての「僧帽筋」を負傷するアクシデントに見舞われた。欠場も視野に入れたほどの痛み。しかし、「痛くない、と自分に言い聞かせながら」(内村)、どうにか大会を乗り切った。

「僧帽筋を痛めたり、6月のNHK杯もあまり自分の演技ができなかったり、ちょっと危ないシーズンになりそうだと思った。けれどもそこからしっかり立て直して、社会人(シニア)、世界選手権、そして今回の全日本団体とすごく良い演技ができた。しっかりとケガに気を付けてやれば、まだまだいけるんじゃないかなと思った1年だった」


 ケガに強いという新たな姿を、王者は示した。4月に「25歳を乗り切ればリオ五輪につながるのかなと思っている」と話していたことを踏まえれば、2年後に向けてひとヤマを越えたということに疑いはない。

矢内由美子
矢内由美子

北海道生まれ。北海道大卒業後にスポーツニッポン新聞社に入社し、五輪、サッカーなどを担当。06年に退社し、以後フリーランスとして活動。Jリーグ浦和レッズオフィシャルメディア『REDS TOMORROW』編集長を務める。近著に『ザック・ジャパンの流儀』(学研新書)

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