ミスなく走った駒澤大が全日本4連覇 元箱根ランナー神屋氏、徳本氏らが解説

構成:スポーツナビ

全日本大学駅伝は、駒澤大が1区から1位を譲ることなく完全優勝。大会4連覇を達成した 【写真は共同】

 第46回全日本大学駅伝が2日、愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までのコースで行われ、駒澤大が大会4連覇を達成した。2位には明治大、3位には青山学院大が入った。
 駒澤大は、エースがそろった1区で村山謙太が区間賞を奪うと、そのまま一度も抜かれることなく完全優勝を果たした。2位の明治大は1区17位と出遅れたものの、徐々に順位を上げ、最終8区で青山学院大、東洋大を抜き、同校の全日本における最高順位を獲得している。

 スポーツナビでは、駒澤大OBで現在はランニングアドバイザーを務める神屋伸行さん、法政大OBで現在は駿河台大学駅伝部監督、また実業団のモンテローザでも活躍する徳本一善さん、スポーツライターの加藤康博さんの3人に今大会の解説と、新春の東京箱根間往復大学駅伝競走(15年1月2日、3日)に向けた展望を語ってもらった。

駒澤大、箱根1区は村山の可能性も?(神屋伸行)

 結果的に見てもやはり1区の攻防戦が今回の駅伝のすべてを物語っていましたね。もちろんチームの雰囲気といいますか、上を目指す上で流れをうかがうというのもそうですし、監督同士の読み合いもそうですね。「(駒澤大の)村山(謙太)選手が1区というのは予想外だった」という酒井(俊幸)監督のコメントが東洋大の結果を物語っていたのではと思います。もし、ある程度予想していたら違ったオーダーでもう少し考えていたかもしれませんが、そういった意味でも1区にすべてが集約されていましたね。

 チーム作りのコンセプトの違いがあると思いますが、駒澤大や東洋大のような、チームの特色というか厳しさがあるところは、チームが強くなるとミスをほとんどしなくなります。今日の駒澤大はほぼ100点。ミスをほとんどしませんでしたね。

 駒澤大の強さは、アンカーの馬場翔大選手などある程度任せられる選手や、7区を3年連続で走った黒川翔矢選手ら中堅の戦力に加えて、主力区間も村山選手、中村匠吾選手がいるのが大きいですよね。選手には、記録会という(好記録がマークできるように)作っていただいた環境の中で出した記録を持っている選手も多くいます。こういう選手がチームに多いと、ある程度流れができないと駅伝を自分たちで組み立てることができません。それが村山選手クラスになると、自分でレースを作っていきます。そういう選手が一人でも多くいるチームは強いと思います。

 箱根駅伝に向けてですが、駒澤大を筆頭に、今回「僕らはやれるぞ」と思った可能性のある明治大、加えて青山学院大が絡んで東洋大と一緒に追いかけてくるのかなという感じですね。
 大八木弘明監督は今回、タブーを破るような感じで1区に村山選手を投入しました。まさか箱根駅伝で1区に村山選手ということはないと思いますが、分からないですよね(苦笑)。仮に「1区で失敗したくないから村山だ!」と配置したとしても、それでも十分こなせる走力を持った選手がいるので、戦略に自由度がある駒澤大が1番強いのではないかと思います。

 東洋大は昨年と違う気がするんですよね。今日も(レース後に)座り込んでしまう選手が出ているのを見ると、少しチーム状態がよくないのかなと。談話で「故障者が何人かいて」という話が出ていましたし、なんとなく苦しんでいる感じがします。
 また青山学院大は、選手一人一人が、今回であれば駒澤大に対して「僕は村山選手から負けても何秒でたすきを渡せるんだ」とか「中村選手なら何秒以内で抑えられる」と、何とか勝負できるのだと捉えられるかどうかですね。「これだけ頑張ったのに明治大に負けた」と思うのか、「駒澤大に対してこれだけ近づけた」と思うかで箱根駅伝も変わってくるかなと思います。

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