シーズンを通して世界中を転戦しているプロテニスプレーヤーにとって、体調と食生活のコントロールは必要不可欠。シャラポワの場合、特に水分補給が重要だという。

「感覚的に身体に良いものは、だいたい分かっているわ。朝起きたらまず最初に、０.５リットルの水を飲むの。それが、自分にとってのスターティングポイントよ。ツアー中は常に水分補給を考えているし、試合の前は炭水化物、たんぱく質、水分を摂るわ」

　一方で、その美貌とスタイルをキープするために、特別なメンテナンスはしていないと言う。唯一、テニスは屋外で行うことがほとんどのため、紫外線対策だけは怠らない。

「子供のころから、母親に『絶対に日焼け止めをちゃんとつけてから外に出るように』と言われていたの。それが自分の肌にとって、一番いいことだったと思うわ。そのほか、顔や体に何か塗ったりといったことは特にしていないわ。できるだけ自然なオーガニックなものを使ったり、外での試合の後は念入りに洗顔するとか、そういうことを気をつけるくらいね」

　ワークアウトはジムで筋トレを行うより、アウトドアが好きだという。

「ウエートトレーニングとか、あまり自分の身体に向いていないものはやらないわ。テニスの動きに必要な、体幹を鍛えたり、バランスをとるトレーニングはしているけれど。テニスコートでやっている練習自体が、ある種の運動になっていると思う。

　ずっと続けてきて思うのは、テニスは“最高のワークアウト”だということね。テニスはいろいろな意味で全身運動だから、手や足すべてが鍛えられるのよ。本当にいいエクササイズだと思うわ。たまにけがをしてテニスができない時、代わりにジムで鍛えたとしても、コートに戻ると何か違うなと思うの。やっぱりテニスで鍛えたシェイプが一番いいと思うわ」

　シーズンの合間のわずかなオフには、家でゆっくりすることも。

「何日もオフはないけれど、その間は友達や家族と会ったりするわ。それすらもしたくないときは、『もったいない、何かしなきゃ』と思うけれど、本当に何もしないで家にいることもある。数日経つと気持ちがリフレッシュされて、また何かしたいという気持ちになってくるから、基本的には家にいることが多いわ」

　最後に、テニスを始めたい人、初心者の方に向けてシャラポワから上達へのアドバイスを。

「あまり急がないことだと思うわ。最初に挫折してしまうと、それでフラストレーションを覚えてやめてしまう人が多いんじゃないかしら。まずは、軽めのテニスボールを使うといいと思うわ。ボールが空中にある時間が長いから、ラリーが続きやすくなるのよ」

（取材・文：竹内桃子／スポーツナビ）